周りのarmyを押しながらもジミンへ大きく手を振る。
『ニコッ』っとジミンが苦笑いし手を振り返した。
嫌がってる
そんなこと知ってる。
困ってる
そんなこと分かってる。
けどいいんだよ。
だってこれ以上何をすればジミンは私を見るの?
ドタドタッ!
ジミンへ接近中。
ガードマンの後ろまで来た。
もうジミンは目の前。
私を見てジミンの眉間にシワが寄ったのが分かった。
分かってるよ。
私だってこんなことしたいわけじゃない。
けど、ジミンが私を見てくれてるって思うと普段では全体に無いこの心地良感。
もうこうするしかないんだよ。
全力で手を伸ばした。
届かない。
ジミンは私の手に気づいている。
ジミンは手を1、2回振って早歩きで歩いて行ってしまった。
ジミンの手振りが頭でリピートされる。
その時私は体が燃えるように熱くニヤケが止まらなかった。
おかしい。
自分がおかしい。
もう、本当に…。
どうしようもない。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。