あの後、私はまた熱を出して寝込んでしまった
でもお昼過ぎには熱も下がり、倦怠感だけが残った
私にしては大分軽症だった
それから太宰が作ってくれたお粥を食べて
一緒に映画を観た
と云いながら私は笑った
太宰も、つられて笑ったが__
と、ふと云った
私はゆっくりと布団から起き上がり
静かに外へ出た
太宰の部屋のドアに凭れ掛る様にして
私は電話に出る
兄だった
私は少し呆れる様に微笑んで、云った
兄は笑うに留めて、理由は云わなかった
電話越しでも、兄が微笑んでいるのが判った
兄は今日は良く笑う
機嫌が良いみたい
私はそうやって話しているうちに
ふと堪らなく淋しく、嬉しくなって
兄に訊いた
兄の、優しい声が、聞こえる
兄が、少しだけ焦っている気配がした
そこに私は、罪悪感と幸福感という
訳の解らない二つの雰囲気を感じた
気付けば私は、そんな事を云っていた
兄さんは、優しく柔らかく
愛おしそうな声で云った
これが
この電話が
大好きで大嫌いな兄さんとの
最後の電話だった
__翌日
私と太宰は探偵社に戻り
いつも通り、国木田に怒られた
会ってから結構経つのにまだ話せてない!
早く仲良くなりたいのに
国木田が云いかけた途端に、物凄い大声が飛んで来た
私は気になって、今出社した敦君と鏡花と云う少女
そして、二人と話している太宰の近くに行った
と云いながらにっこにこで鏡花ちゃんを見る太宰
やめなよ、泣いちゃうよ
⋯⋯大人びてるねえ
と云って、太宰と敦君は此方に背を向けて
何やら話し始めたので
私は鏡花ちゃんに話しかけた
私はそう云って、鏡花ちゃんをじっと見つめた
私は鏡花ちゃんと目線を合わせる様に
少しだけ屈んで













編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!