第17話

十五社
793
2025/06/04 12:43 更新










 あの後、私はまた熱を出して寝込んでしまった



 でもお昼過ぎには熱も下がり、倦怠感だけが残った

 私にしては大分軽症だった



 それから太宰が作ってくれたお粥を食べて
 一緒に映画を観た





太宰
 怖かった? 
あなた
 全然 
あなた
 ホラー映画ってあんな感じなの 
太宰
 今のは結構怖いって
 国木田くんに聞いたのだけど 
あなた
 彼奴ホラーとか観るんだ 
太宰
 いや、乱歩さんに誘われて 
 断れなかったらしい
あなた
 何その面白い話
 知らないんだけど! 

 と云いながら私は笑った

 太宰も、つられて笑ったが__
太宰
 ⋯⋯電話? 

 と、ふと云った
あなた
 あ、私だ 
あなた
 ちょっとごめん 
太宰
 うん 

 私はゆっくりと布団から起き上がり
 静かに外へ出た



 太宰の部屋のドアにもたれ掛る様にして
 私は電話に出る















 兄だった



あなた
 もしもし 
フョードル
 « お久し振りです » 
あなた
 如何したの? 
フョードル
 « 鼻声ですね
   やはり、風邪をひきました? » 
あなた
 何でバレてるの 

 私は少し呆れる様に微笑んで、云った
フョードル
 « ふふ » 

 兄は笑うに留めて、理由は云わなかった
フョードル
 « ぼくからの贈物プレゼント
   受け取って頂けました? » 
あなた
 勿論 
あなた
 不思議な道化師のような人が 
 届けに来てくれたよ
あなた
 友人? 
フョードル
 « 嗚呼、彼ですか
   今親しくしてくれている人です » 
あなた
 へえ
 善い人そうだったよ 
あなた
 ドリンクありがとうね
 お陰で、いつもより早く治ったよ 
フョードル
 « それなら善かった » 

 電話越しでも、兄が微笑んでいるのが判った


 兄は今日は良く笑う

 機嫌が良いみたい




 私はそうやって話しているうちに
 ふと堪らなく淋しく、嬉しくなって

 兄に訊いた

あなた
 ねえ 
フョードル
 « はい » 

 兄の、優しい声が、聞こえる
あなた
 今度久し振りに
 一緒にお茶でも行こうよ 
フョードル
 « ⋯⋯ » 
あなた
 ⋯⋯兄さん? 
フョードル
 « 勿論、行きましょう » 
あなた
 やった__ 
フョードル
 « しかし » 
フョードル
 « 何年後になるか判りません » 
あなた
 ⋯⋯え? 
あなた
 どう云うこと? 
フョードル
 « 今日電話したのは
   この事を話す為です » 
あなた
 何かあったの?
 何年も会えないなんて 
フョードル
 « 理由は、云えません » 
フョードル
 « 遣る事があるのです 
   とても大切な »
あなた
 そう⋯⋯ 
フョードル
 « なので
   暫くは会えないんです » 
フョードル
 « 済みません » 
あなた
 ううん、良いの大丈夫 

 兄が、少しだけ焦っている気配がした



 そこに私は、罪悪感と幸福感という

 訳の解らない二つの雰囲気を感じた










あなた
 兄さん Братик⋯⋯ 
あなた
 私は兄さんを、愛していますЯ люблю тебя, братик 





 気付けば私は、そんな事を云っていた




フョードル
 « ええ Да » 





 兄さんは、優しく柔らかく

 愛おしそうな声で云った




フョードル
 « ぼくも愛しています Я тоже тебя люблю » 






 これが






 この電話が






 大好きで大嫌いな兄さんとの
 最後の電話だった




















 __翌日





 私と太宰は探偵社に戻り
 いつも通り、国木田に怒られた


あなた
 ねえ国木田〜 
国木田
 何だその遣る気の無さは! 
あなた
 敦君は何処なの? 

 会ってから結構経つのにまだ話せてない!
 早く仲良くなりたいのに
国木田
 彼奴ならまだ__ 
 同棲なんて聞いてませんよ! 

 国木田が云いかけた途端に、物凄い大声が飛んで来た
あなた
 え、同棲? 
太宰
 部屋が足りなくてねえ 

 私は気になって、今出社した敦君と鏡花と云う少女
 そして、二人と話している太宰の近くに行った
太宰
 それに新入り二人には
 家賃折半が財布に優しい 
あなた
 ( あゝ成程 ) 
太宰
 あなたもそう思うでしょ? 
あなた
 うん、面白そう 
 ( 面白そう⋯⋯? ) 
 しかし__ 
太宰
 彼女は同意しているよ 
太宰
 ねえ 

 と云いながらにっこにこで鏡花ちゃんを見る太宰

 やめなよ、泣いちゃうよ
鏡花
 指示なら 
あなた
 わお 

 ⋯⋯大人びてるねえ
太宰
 判らないかい敦君 

 と云って、太宰と敦君は此方こちらに背を向けて
 何やら話し始めたので

 私は鏡花ちゃんに話しかけた
あなた
 貴女あなた、いくつ? 
鏡花
 ⋯⋯十四 
あなた
 そう 

 私はそう云って、鏡花ちゃんをじっと見つめた
鏡花
 なに 
あなた
 いや__ 





あなた
 鏡花ちゃんは、人助けが向いてるね 





鏡花
 ⋯⋯え? 
鏡花
 な、何でそう思うの? 
あなた
 んー何と云うか⋯⋯ 
鏡花
 本当に、そう思う? 
あなた
 ⋯⋯ 

 私は鏡花ちゃんと目線を合わせる様に
 少しだけ屈んで
あなた
 不安なんでしょう?
 探偵社には入ったけど 
あなた
 今まで、沢山の人に
 人助けは向いていないと云われた 
あなた
 そんな私が
 これからちゃんとやって行けるのか 
鏡花
 何でわかるの? 



あなた
 昔の私によく似ているから 
鏡花
 ! 
あなた
 だから、大丈夫 





   ❕   
 めっっっっっちゃ変な切り方して 
 すみません!!
   ❕   
 やっと出せました!
 皆さん、お待たせしました😭 






   ❕   
 本当にありがとうございます!! 
 とっても嬉しいです😻










   ❕   
 是非⋯⋯⋯🤲🏻 



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