ねぇ、知ってる?
❍❍中学校にある5番目の七不思議
それはね_____
無人の放送室
真夜中、誰もいないはずの放送室。
なのに、スピーカーからチャイムが鳴って、誰かが話し始める
それを聞いたら何だか自分も放送をしたくなるんだって。
そして、放送室まで無意識に行って放送をし始めたらもうおしまい。
あの世の者と繋がるんだ。
会話ができるようになる。
これから再生するお話は七不思議の正体を探ろうとした3人の男の子のお話だよ
▷再生する 20✔✔年❑月❧日 ❇◈ファイル
ヴーンヴーン ブッ
深夜の2時__丑三つ刻と呼ばれる時間、翔憂と廻斗は校舎の中にいた。
もし、どこかに人がいたら一発アウトな大声で喧嘩をしながらも放送室を目指していた。
至極同然当たり前と言うように凪呂が言い放ったのを見て、互いに睨みつける翔憂と廻斗だった。
と言ってもどちらかが悪いのではなく、どちらも悪いのでなすりつけることはできない。
しかも、喧嘩をしている割には色違いだがお揃いのパーカーを着ていることに気付いた凪呂は苦笑した。
「あははっ」と笑う凪呂の肩を2人同時に叩いた。
さっきまで喧嘩していた癖に、顔を見合ってニヤニヤしている翔憂と廻斗を見ると何か言いたくなる。
『同じ目的見つけたら息ぴったりなんだから…』と呆れる凪呂だった。
口喧嘩をしながらだったが、放送室の前に着いた。
外からは中の様子がほとんど見えない。
ドアの上の方にガラスはあるが、そこからもはっきりとは見えなかった。
廻斗がドアノブを回し、押して開けようとしたが開かない。
ドアノブの回す方向を変えたり、スライドしたりするが、なぜか引いて開けようという考えにはならなかったようだ。
若干、ムキになって怒りを見せる廻斗に、翔憂が手を重ねてドアノブを回してから引いた。
「いやー、…」と気まずそうに言葉を濁してから、
そう言って入ろうとしたときに、まだ廻斗と翔憂の手が触れていることに気付き、2人同時にパッと離した。
もう疲れたのか凪呂は2人の喧嘩を無視して、七不思議の内容をもう一度頭の中で確認した。
そして、少し経ってからあることに気付く。
3人でうーんと唸って、頭を捻った。
廻斗がふと周りを見てから、
職員室なら放送室からかなり近いし、スピーカーもある。
こうして3人は謎の放送が聞こえるのを待った。
“それ”が聞こえたのは2時半少し過ぎのことだった。
翔憂の耳には確実に届いていたが、なぜか廻斗と凪呂には聞こえない。
2人がその声を耳にとらえた。
翔憂は思ったよりも、 危険なものだと感じ凪呂に目を向けた。
霊力が高いわけでも、七不思議に対抗できる力があるわけでもない凪呂にとっては、とても危ないもの。
だが、凪呂の目は虚ろで翔憂と廻斗の方向を向いてはいるが、声が聞こえてないようだ。
『今すぐにでも学校から出るぞ!!』、そう言い終わる前に
そう咆哮した瞬間、
グチャッ
凪呂の身体はどんどん変化していった。
もう、それは凪呂ではない。
“凪呂だった怪物”だ
廻斗が怪物の腕を掴もうとした瞬間、翔憂が飛び込んだ。
翔憂は微かに攻撃を受け、頬が切れ血が出た。
ポケットからお札を取り出し、“消滅”の呪文を唱えようとした。
廻斗はパニックになり、翔憂の言っていることの半分以上は理解ができない。
翔憂は言っていることが伝わらないことにイラつき、廻斗の肩を揺さぶった。
廻斗が怪物を指さした。
ぎこちない動きで手足を動かし、意味不明な言葉を発しながら、職員室の外へ出ていこうとする。
翔憂は危険をかえりみず、怪物の身体を引き止めた。
そうは言うものの、翔憂は痛みで顔を歪める。
怪物が翔憂の肩に噛み付く。
赤黒い鮮血がほとばしった。
床に赤黒い斑模様をつくる。
翔憂は力が抜けそうになるが、意地でも怪物を離さない。
このまま、放送室に向かわせてしまうと凪呂の身体ごとあの世へ行ってしまう。
そう叫びながら握りしめていたお札を目の前に持ってきた。
意識が朦朧になりながらも、廻斗がお札を使うことを止める。
だが、廻斗は余裕のない表情を見せながら言った。
翔憂の噛まれた肩に青白く怪しく光るお札を貼り付けた。
その瞬間、大量に出血していた肩は元に戻り、痛みも消える。
戸惑いながらも廻斗は残り1枚のお札を取り出し、真剣な表情で見つめた。
廻斗の赤い目が炎のようにボオッと光った。
霊力、護りたいという感情、全てをお札に念じた。
そして、翔憂の額に貼る。
こちらに顔も向けず、翔憂はまた怪物を引き止めた。
決して大きくない怪物の身体を引き止めるのは翔憂にとっては簡単だ。
だが、激しい痛みが襲う。
変わり果てた友人の右目を見つめながら、廻斗は叫んだ。
『かい、てぃー?』
脳の中で凪呂の声が聞こえた。
『僕、………は』
痛みに耐えながら翔憂も話し始める。
『、………ありがと……!』
その声が聞こえた瞬間、
翔憂の身体から痛みが消えた。
と同時に額に貼ってあった、お札も元の色に戻り、ひらひらと宙に舞い消えていった。
ぶっきらぼうに話しかけてきた廻斗の目は微かに潤んでいた。
いつもならそのことを茶化すところだが、翔憂はこくりと頷いてから右手を差し出す。
目線を合わせないまま、握手をした。
5秒、10秒…とそのままにしてから離す。
気まずい空気をなんとかしようと、口を開けば「なろっちどこだ?」とダダ被りになり更に気まずくなった。
そう言われたら照れて、プイッと顔を背けるのだった。
凪呂の身体により移っていたナニカは煙の姿で謝る。
先ほどまでの暴れようはどこへ行ったのか、高い声で今にも泣きそうだ。
「もう謝るのはいいって」と呆れながら凪呂は言った。
また「すみません…」とナニカが謝るのを聞いて、凪呂がギロッと睨む。
ひえっと悲鳴をあげてから、素直に名乗った。
“海月”と呼ばれたのが恥ずかしかったのか、照れたような口調になった。
煙の姿なので、本当に照れているのかはよくわからないが。
少し躊躇ってから煙の形を変化させ…
小学3年生くらいの見た目をした海月は、褒められて俯く。
凪呂と廻斗は事前にこのことを聞いていたため、無言で言葉の続きを待った。
そう言う翔憂に海月は困ったような表情をしながら言った。
ひたすらに俯いて謝る海月に優しい声をかける凪呂と廻斗だったが、翔憂だけは何も言わなかった。
そんな翔憂を気にするが、海月は壁にある時計を見てハッとした表情になった。
小さな身体を90度まで曲げまた謝る。
そんな海月に苦笑するが、もう慣れたようだ。
凪呂と廻斗は手を振ると、海月もぎこちなく振り返す。
ひゅんとまた煙の姿になり、一瞬にして消えてしまった。
校門まで向かおうとすると、凪呂が足を止め翔憂のパーカーの裾を引っ張った。
吐き捨てるようにそう言われた2人は、結ばれた青い髪が歩く度に揺れるのを寂しく見つめた。
凪呂はどうしてここまで“あの出来事”に翔憂が固執するか、あまり良く分かっていなかった。
だが、彼の背中を追いかける廻斗は思う。
『そうかもしれないけど……俺を頼って欲しかったよ。兄貴』、と。
普段は反発し合い、喧嘩ばかりだが互いに大嫌いなわけでも、消えて欲しいとも思っていない。
だからこそ、自分を頼ってもらえなかったことに少し腹が立つのだった。
ヴーンヴーン ブッ
↺ファイルの終わり ▷もう一度再生する
そろそろ“彼”が本気で動き出すよ、?
あの子たちなら、わかると思うのになぁ…。
トモダチ、なんて結局薄っぺらいんだよ。
特に七不思議が絡むとね。
なんて、あの子たちが聞いたら怒るかな
じゃあね

















編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!