第7話

▷伍の怪_無人の放送室
71
2025/08/21 12:00 更新


ねぇ、知ってる?




❍❍中学校にある5番目の七不思議










それはね_____






























 
         無人の放送室

















































真夜中、誰もいないはずの放送室。






なのに、スピーカーからチャイムが鳴って、誰かが話し始める











それを聞いたら何だか自分も放送をしたくなるんだって。


そして、放送室まで無意識に行って放送をし始めたらもうおしまい。





あの世の者と繋がるんだ。
会話ができるようになる。















これから再生するお話は七不思議の正体を探ろうとした3人の男の子のお話だよ




















▷再生する 20✔✔年❑月❧日 ❇◈ファイル


ヴーンヴーン  ブッ

廻斗
廻斗
オイ、サムライ!!
翔憂
翔憂
お前どんな状況だかわかってるんか?
廻斗
廻斗
知ってるわ!!
翔憂
翔憂
そんな大声出したらバレるやろ?
廻斗
廻斗
まず、バレたらヤバい状況に連れてくんなよ!?
翔憂
翔憂
別に着いて来いなんて言ってへんわ!!


深夜の2時__丑三つ刻と呼ばれる時間、翔憂と廻斗は校舎の中にいた。

もし、どこかに人がいたら一発アウトな大声で喧嘩をしながらも放送室を目指していた。

翔憂
翔憂
てか、本当にどうして廻斗は着いてきたん?
廻斗
廻斗
お前、なろっちも巻き込んでるんだろ?
翔憂
翔憂
それはアイツが一緒に行きたいって言うたからや
廻斗
廻斗
それが心配で着いてきたんだよ…



凪呂
凪呂
あ、おーい!
戦友組
なろっち!
凪呂
凪呂
どこ行っちゃったのかと思ったよ
翔憂
翔憂
てか、ようここにおるってわかったな
廻斗
廻斗
コイツが『待ってられへん!』とか言って勝手に移動し始めたのにな
凪呂
凪呂
そりゃわかるよ…って何で僕のこと置いてこうと思ってんの!?
翔憂
翔憂
だってこーへんのかと思ったんやもん
凪呂
凪呂
そんなことないよ
廻斗
廻斗
それで何でここがわかったんだ?
凪呂
凪呂
あんな大声で喧嘩してたらわかるに決まってるでしょ?


至極同然当たり前と言うように凪呂が言い放ったのを見て、互いに睨みつける翔憂と廻斗だった。

と言ってもどちらかが悪いのではなく、どちらも悪いのでなすりつけることはできない。


しかも、喧嘩をしている割には色違いだがお揃いのパーカーを着ていることに気付いた凪呂は苦笑した。

凪呂
凪呂
はいはい、仲良し双子くん。放送室行くんでしょ?
戦友組
仲良しじゃねえっ


「あははっ」と笑う凪呂の肩を2人同時に叩いた。

さっきまで喧嘩していた癖に、顔を見合ってニヤニヤしている翔憂と廻斗を見ると何か言いたくなる。

『同じ目的見つけたら息ぴったりなんだから…』と呆れる凪呂だった。

翔憂
翔憂
よーやく着いたわ。ド腐れ厨二病!
廻斗
廻斗
いや、俺に当たるな
凪呂
凪呂
濡れ衣着せられてるやんw
翔憂
翔憂
こちとらお前と歩くだけで、2倍疲れんねん
廻斗
廻斗
あまりにも暴論すぎる


口喧嘩をしながらだったが、放送室の前に着いた。
外からは中の様子がほとんど見えない。
ドアの上の方にガラスはあるが、そこからもはっきりとは見えなかった。


廻斗がドアノブを回し、押して開けようとしたが開かない。
ドアノブの回す方向を変えたり、スライドしたりするが、なぜか引いて開けようという考えにはならなかったようだ。

廻斗
廻斗
は…っ、開かねえ…!


若干、ムキになって怒りを見せる廻斗に、翔憂が手を重ねてドアノブを回してから引いた。

翔憂
翔憂
お前、何でドアを引こうって考えにならんのや。ホンマ、アホやな
廻斗
廻斗
はあっ!?
凪呂
凪呂
まあまあ…、かいてぃーが放送室に入ったことなかったんでしょ?
廻斗
廻斗
いや、ある
凪呂
凪呂
あるんかい
翔憂
翔憂
どうやって入ったん…?


「いやー、…」と気まずそうに言葉を濁してから、

廻斗
廻斗
開かなすぎて、ドアに体当たりしたらぶっ壊した……って感じ………デス
翔憂
翔憂
何してんねん
凪呂
凪呂
アホすぎる…


廻斗
廻斗
もうこの話はいいから入るぞ!


そう言って入ろうとしたときに、まだ廻斗と翔憂の手が触れていることに気付き、2人同時にパッと離した。

凪呂
凪呂
やっぱり、息ぴったり…
凪呂
凪呂
で、どういう噂だっけ?
翔憂
翔憂
んーとな

廻斗
廻斗
真夜中、誰もいないはずの校舎。突如としてチャイムが鳴って、誰か……あの世のモノが話し始める

廻斗
廻斗
それを聞いていると、なぜだか自分も放送したくなって、放送室まで無意識に向かう
廻斗
廻斗
それで、放送室へ入って放送を始めたらあの世と繋がって、彼岸に連れてかれるらしい
翔憂
翔憂
奪うなよ

翔憂
翔憂
補足を入れるとその放送で使われる言葉は、日本語をメチャクチャに並べたみたいな言葉や
翔憂
翔憂
ま、つまりはあの世の言語で話し始めるってことやね
廻斗
廻斗
お前こそ奪うなよ
翔憂
翔憂
先に奪ったんそっちやろ

凪呂
凪呂
なるほどねぇ〜…


もう疲れたのか凪呂は2人の喧嘩を無視して、七不思議の内容をもう一度頭の中で確認した。

そして、少し経ってからあることに気付く。

凪呂
凪呂
……そしたら、放送室にいたらダメやん
戦友組
え?
凪呂
凪呂
だって放送を“聞いていると”なんだから、聞かないと意味ないんじゃない、?
凪呂
凪呂
それにもしかしたら、放送室に居座ってたらそもそも放送が聞こえない可能性も…
翔憂
翔憂
そ、そうそう!やから、これから移動しようと…
廻斗
廻斗
嘘つけ。絶対、わかんなかっただけだろ
凪呂
凪呂
そう言うかいてぃーもね、?
廻斗
廻斗
う"っ…


翔憂
翔憂
でも、どこに行ったらいいんやろ
廻斗
廻斗
俺らの教室とか…?
凪呂
凪呂
でも、放送室から遠くなっちゃうと向かうのが難しくなると思う


3人でうーんと唸って、頭を捻った。

廻斗がふと周りを見てから、

廻斗
廻斗
あ!職員室
心友組
ああっ!


職員室なら放送室からかなり近いし、スピーカーもある。

こうして3人は謎の放送が聞こえるのを待った。

“それ”が聞こえたのは2時半少し過ぎのことだった。


???
ァ゙、…、……ゥ゙……
翔憂
翔憂
?何か聞こえたか?
廻斗
廻斗
いや…、
凪呂
凪呂
僕も何も…
翔憂
翔憂
気のせいかな……?





???
、、な゙…、ァ?、?びィ!……………、
翔憂
翔憂
………、やっぱし、聞こえる…
廻斗
廻斗
嘘だろ、……オレは聞こえねぇ…
凪呂
凪呂
僕も、………


翔憂の耳には確実に届いていたが、なぜか廻斗と凪呂には聞こえない。

???
。、……ざがァ、ィんボくり"ゃがダァァァ!!!!!
翔憂
翔憂
ッ!!
廻斗
廻斗
ッ、聞こえた。俺にも

翔憂
翔憂
なろっち。これ、結構ヤバい。お前はあんま聞かんほうが…
廻斗
廻斗
なろっち?


2人がその声を耳にとらえた。

翔憂は思ったよりも、 危険なものだと感じ凪呂に目を向けた。

霊力が高いわけでも、七不思議に対抗できる力があるわけでもない凪呂にとっては、とても危ないもの。



だが、凪呂の目は虚ろで翔憂と廻斗の方向を向いてはいるが、声が聞こえてないようだ。

凪呂
凪呂
…………
翔憂
翔憂
なろっち!!クソっ、マズい!
廻斗
廻斗
サムライッ!!どうすんだよ!?
翔憂
翔憂
どうするもこうするもッ、___


『今すぐにでも学校から出るぞ!!』、そう言い終わる前に

凪呂
凪呂
………ャ゙ぢィ………………、、
戦友組
ッッ!!!
€×|=™ ((/'-¥ ??
€×|=™ ((/'-¥ ??
る"ングルき、、びしョ゙$™ヌ゙るマ??∆§
廻斗
廻斗
しっかりしろ、なろっち!!
€×|=™ ((/'-¥ ??
€×|=™ ((/'-¥ ??
な"ァ$=][]ァァ?!?ごょ゙ンしゥゥヂゃ©™®πゃァ゙ァ゙ァ!!!!!


そう咆哮した瞬間、



グチャッ



翔憂
翔憂
オイッ、どうなっとるんや!?


凪呂の身体はどんどん変化していった。




もう、それは凪呂ではない。




“凪呂だった怪物ナニカ”だ




廻斗
廻斗
何だこれッ!?なろっち!!
翔憂
翔憂
廻斗、触れたらあかん!!


廻斗が怪物の腕を掴もうとした瞬間、翔憂が飛び込んだ。

翔憂
翔憂
……、ッた…
廻斗
廻斗
、……ッ!!ケガ……!


翔憂は微かに攻撃を受け、頬が切れ血が出た。

廻斗
廻斗
とりあえず、お札で……ッ


ポケットからお札を取り出し、“消滅”の呪文を唱えようとした。

翔憂
翔憂
待て!
廻斗
廻斗
何だよ、翔!
翔憂
翔憂
ソイツを攻撃するな!
廻斗
廻斗
何でだ!?コイツはもう、なろっちじゃ……!
翔憂
翔憂
たしかに、意識はなろっちちゃうけど、身体はなろっちなんよ!
廻斗
廻斗
何言ってんだ、お前!?


廻斗はパニックになり、翔憂の言っていることの半分以上は理解ができない。

翔憂は言っていることが伝わらないことにイラつき、廻斗の肩を揺さぶった。

翔憂
翔憂
や〜か〜ら〜!!!
廻斗
廻斗
揺らすな、バカ!!

翔憂
翔憂
アパートで例えると!
翔憂
翔憂
なろっちの身体が大きいアパートで、中で意識操ってるのが住んでるヤツってこと!
翔憂
翔憂
中に住んでるヤツを追い出しても、アパート自体に支障はでぇへんけど、アパートを取り壊したら誰も住めんくなるやろ?
翔憂
翔憂
それと一緒や!!
廻斗
廻斗
例え方キッショいな!!
翔憂
翔憂
今それ、どうでもいいわ!


翔憂
翔憂
とにかく!なろっちの身体攻撃したら、中にいるヤツじゃなくてなろっちが死ぬ!!
翔憂
翔憂
なんとかして中にいる奴だけ、消滅させれば…




廻斗
廻斗
サムライッ!!なろっちが!


廻斗が怪物を指さした。

ぎこちない動きで手足を動かし、意味不明な言葉を発しながら、職員室の外へ出ていこうとする。

翔憂
翔憂
待てぇ!!!


翔憂は危険をかえりみず、怪物の身体を引き止めた。

翔憂
翔憂
ぐぁぁぁぁ"ぁ"!!
廻斗
廻斗
翔!離せ!!死ぬぞッ!!
翔憂
翔憂
ダメや!!ここで引き止めんと、なろっちの身体が…!


そうは言うものの、翔憂は痛みで顔を歪める。

€×|=™ ((/'-¥ ??
€×|=™ ((/'-¥ ??
ふギュぅガ%++@、、リごみ"ュ"だァァァヒュラ!!
翔憂
翔憂
うぁぁァ゙ァ゙!!!
廻斗
廻斗
翔ッ!?


怪物が翔憂の肩に噛み付く。
赤黒い鮮血がほとばしった。

床に赤黒い斑模様をつくる。





翔憂は力が抜けそうになるが、意地でも怪物を離さない。

このまま、放送室に向かわせてしまうと凪呂の身体ごとあの世へ行ってしまう。

廻斗
廻斗
くそおっ!!


そう叫びながら握りしめていたお札を目の前に持ってきた。

翔憂
翔憂
かい……くん、ダメ………、や。なろっちが……


意識が朦朧になりながらも、廻斗がお札を使うことを止める。

だが、廻斗は余裕のない表情を見せながら言った。

廻斗
廻斗
これは、………お前のために使うッ!
廻斗
廻斗
神に授けられし、この力。使わせていただいます!


廻斗
廻斗
       -護れ!!!-
守る者を護り、清い者を助けて穢れる者は浄化しろ!!


翔憂の噛まれた肩に青白く怪しく光るお札を貼り付けた。

その瞬間、大量に出血していた肩は元に戻り、痛みも消える。

翔憂
翔憂
ッは、…っ!!………、ありが、とう……
廻斗
廻斗
どうってことねえよ

廻斗
廻斗
で、中にいるヤツどうやって出すの?
翔憂
翔憂
さっき近づいてよく見たとき、右目だけまだなろっちのままやった

翔憂
翔憂
顔も、首のところも…多分全身がひび割れみたいんがあって、左目も若干ひび割れができとって普通白いところが真っ黒やった
翔憂
翔憂
だけど、右目はまだ白くてひび割れもなかった
廻斗
廻斗
っつーことは?
翔憂
翔憂
右目からなろっちの自我を引き出す
廻斗
廻斗
んなことできんのかよ?
翔憂
翔憂
させる。無理やりでも


翔憂
翔憂
ただ、放送室へ入るまでや。入ったら助けることはほぼ不可能
廻斗
廻斗
タイムリミットはあと数分ってことか
翔憂
翔憂
おん。やから、俺がめっちゃ頑張って引き止める
廻斗
廻斗
は?
翔憂
翔憂
僕にお札貼って
廻斗
廻斗
は?
翔憂
翔憂
何や。こんなときまで反抗するんか?
廻斗
廻斗
違くて。それ、オレの役目だろ、?
翔憂
翔憂
違う。俺の役目


翔憂
翔憂
時間がない。ほら、貼って
廻斗
廻斗
お、おう…


戸惑いながらも廻斗は残り1枚のお札を取り出し、真剣な表情で見つめた。

廻斗
廻斗
神に授けられし、この力。使わせていただいます
廻斗
廻斗
       -護れ-
守る者を護り、清い者を助けて穢れる者は浄化しろ


廻斗の赤い目が炎のようにボオッと光った。

霊力、護りたいという感情、全てをお札に念じた。


そして、翔憂の額に貼る。

翔憂
翔憂
さんきゅ、いくで
廻斗
廻斗
いや、具体的にどうすれば…
翔憂
翔憂
お前の助けたい気持ちがあれば、それで十分や


こちらに顔も向けず、翔憂はまた怪物を引き止めた。

決して大きくない怪物の身体を引き止めるのは翔憂にとっては簡単だ。

だが、激しい痛みが襲う。

翔憂
翔憂
うぅぅぅ゙ぅ゙……!!
€×|=™ ((/'-¥ ??
€×|=™ ((/'-¥ ??
%-&°$•りワンをコニエポカネェぇ゙のナムサナグ!!


廻斗
廻斗
くそ…、よくわかんねえけど…



廻斗
廻斗
なろっちぃ!!いるんだろ!?そこに!


変わり果てた友人の右目を見つめながら、廻斗は叫んだ。

廻斗
廻斗
戻ってこい!!これはお前の身体だ!!こんな怪物なんかに乗っ取られるな!!









『かい、てぃー?』








脳の中で凪呂の声が聞こえた。




廻斗
廻斗
ッ!!そうだ!!オレだ、廻斗だ!!お前はバケモノじゃない!!!人間だ!










『僕、………は』










翔憂
翔憂
なろっち……、、




痛みに耐えながら翔憂も話し始める。













翔憂
翔憂
お前、戻ってこいよ!!ついさっきまで笑ってたやろ!?いつも通り!!だから……































戦友組
戻ってこぉぉぉぉ゙ぉ゙ぉ゙ぉ゙い!!!!!

















『、………ありがと……!』





















その声が聞こえた瞬間、






翔憂
翔憂
………ッ、痛みが………消えた?









翔憂の身体から痛みが消えた。



と同時に額に貼ってあった、お札も元の色に戻り、ひらひらと宙に舞い消えていった。




廻斗
廻斗
だい、じょうぶかよ?


ぶっきらぼうに話しかけてきた廻斗の目は微かに潤んでいた。

いつもならそのことを茶化すところだが、翔憂はこくりと頷いてから右手を差し出す。

翔憂
翔憂
ん、…
廻斗
廻斗
……ん


目線を合わせないまま、握手をした。

5秒、10秒…とそのままにしてから離す。




気まずい空気をなんとかしようと、口を開けば「なろっちどこだ?」とダダ被りになり更に気まずくなった。

凪呂
凪呂
ん、……う〜ん……、?




翔憂
翔憂
あ、!なろっち!
廻斗
廻斗
なろっち!!




戦友組
良かったぁ〜…
凪呂
凪呂
んふ、……2人とも、ありがと


そう言われたら照れて、プイッと顔を背けるのだった。

???
うぁぁ………
翔憂
翔憂
お、ま、え、なぁぁ!
???
す、すみませんすみませんっ!!本当にごめんなさいッ!!!
廻斗
廻斗
平身低頭だなぁ
凪呂
凪呂
すっごい変わりよう…


凪呂の身体により移っていたナニカは煙の姿で謝る。

先ほどまでの暴れようはどこへ行ったのか、高い声で今にも泣きそうだ。

翔憂
翔憂
なぁーんか、僕が悪いみたいになってますやん
???
いやいやいや、……これは完全に僕が悪いです…すみません
凪呂
凪呂
なのに、僕に乗り移ったの?
???
それはその…操られてると言いますか……、僕の意思関係なくああいう風に人を襲ってしまうんです…
翔憂
翔憂
ああ…、それは嘘ちゃうんやな
???
もちろんでございます…ええ……
廻斗
廻斗
お前、七不思議向いてねえだろ…
???
それは僕もちょっと思ってるんですケド……
凪呂
凪呂
思ったより、良い人って感じでオドロキなんだけど…
???
いやいや、僕は良い人……というか人じゃないというか…
翔憂
翔憂
お前、名前なんつーんや?
???
名乗るほどの名はないですよ、…はい……
廻斗
廻斗
呼びづれえから
???
ああ……そうでしたか、すみません……


「もう謝るのはいいって」と呆れながら凪呂は言った。
また「すみません…」とナニカが謝るのを聞いて、凪呂がギロッと睨む。

ひえっと悲鳴をあげてから、素直に名乗った。

???
あの、僕……海月くらげって、言うんです
凪呂
凪呂
くらげ?
海月
はい……あの………、に、似合わない…ですよね…
廻斗
廻斗
かわいーじゃん
海月
いや……はい………、ありがとう………ございます
翔憂
翔憂
何かもっとゴツい名前何かと思っとったわ
海月
全然……、人だったのときの、名前のままといいますか……
凪呂
凪呂
海月くんは元々人間だったの?
海月
はい……


“海月”と呼ばれたのが恥ずかしかったのか、照れたような口調になった。

煙の姿なので、本当に照れているのかはよくわからないが。

廻斗
廻斗
というか、海月くん。その姿以外にないの?
海月
へ?
廻斗
廻斗
何か喋りづらいなぁ〜って
海月
ああ…、なれますよ…


少し躊躇ってから煙の形を変化させ…

心友組
おおっ
廻斗
廻斗
ちゃんと可愛い
翔憂
翔憂
…何かお前、ナンパしてる奴みたいになってんぞ
廻斗
廻斗
は?



海月
海月
いやっ、可愛いなんて…そんな……
凪呂
凪呂
めっちゃ人間やん
海月
海月
元は一応、人間ですし……。あの…服は生前こんなのしか着ていなくて…、、
翔憂
翔憂
全然いいと思うけどなぁ
海月
海月
あとっ、髪も……、何かずっとこの長さで………。女の子、みたいですよね…
廻斗
廻斗
別に似合ってると思うけど…
海月
海月
うえっ……?本当ですか…?

翔憂
翔憂
今まで見てきた怪異ん中で一番人間らしいわ
海月
海月
それは……、はい…………ありがとうございます…


小学3年生くらいの見た目をした海月は、褒められて俯く。

海月
海月
あの………、どうしてみなさんは、僕のことを祓ったりしないんですか…?
凪呂
凪呂
僕はそういう力ないけどね
翔憂
翔憂
話を聞こうと思ってるからな
廻斗
廻斗
あと、フツーになろっちのことな
海月
海月
いや、…っそれは本当にすみません……。何度でも謝ります……
凪呂
凪呂
あぁー!かいてぃーがいじめたぁ!
廻斗
廻斗
ちげえだろ
凪呂
凪呂
www


翔憂
翔憂
知ってるやろ?君らを動かしてる深見コウって人物
海月
海月
ええ…、もちろん


凪呂と廻斗は事前にこのことを聞いていたため、無言で言葉の続きを待った。

翔憂
翔憂
その人のことについて教えてくれ。何でもいいから…ッ


そう言う翔憂に海月は困ったような表情をしながら言った。

海月
海月
…………、できません……
翔憂
翔憂
え…?
廻斗
廻斗
何でだよ…!
凪呂
凪呂
知っているんでしょ?どうして…
海月
海月
コウさんのことについて話すと怒って……というか、……まあその…、僕は…消されてしまいます。不要とみなされて…

海月
海月
翔憂さんも見たでしょう…?七不思議が4番、動く人体模型が消される瞬間を……
翔憂
翔憂
それは……ッ




翔憂
翔憂
そう、やけど……
海月
海月
僕だって七不思議になりたくてなったわけではないですけど、消されるのは怖い……
海月
海月
だから……、言えません。すみません、勝手で……
廻斗
廻斗
あぁ、そうだよな
凪呂
凪呂
大丈夫だよ


ひたすらに俯いて謝る海月に優しい声をかける凪呂と廻斗だったが、翔憂だけは何も言わなかった。


そんな翔憂を気にするが、海月は壁にある時計を見てハッとした表情になった。

海月
海月
すみません……、そろそろ僕は行かないと…
凪呂
凪呂
用事?
海月
海月
用事…………まあ、そんなところです…





廻斗
廻斗
んじゃ、海月くんありがとな
海月
海月
いえ、………感謝されるようなことは何も…………
海月
海月
むしろ迷惑ばかりで……


海月
海月
えぇと……、凪呂さん、先ほどは本当にすみませんでした…。本当に………
凪呂
凪呂
もう僕は気にしてないよ
海月
海月
廻斗さんも…………お手数をおかけして…
廻斗
廻斗
いやいや、オレも別に大丈夫だから




海月
海月
しょ、翔憂さん……も



海月
海月
すみませんでした


小さな身体を90度まで曲げまた謝る。

そんな海月に苦笑するが、もう慣れたようだ。



凪呂と廻斗は手を振ると、海月もぎこちなく振り返す。





ひゅんとまた煙の姿になり、一瞬にして消えてしまった。


凪呂
凪呂
翔ちゃん
翔憂
翔憂
、………大丈夫やから



廻斗
廻斗
帰るか


校門まで向かおうとすると、凪呂が足を止め翔憂のパーカーの裾を引っ張った。

翔憂
翔憂
…………何や?
凪呂
凪呂
僕も気にしてる。“こーくてゃん”のこと
凪呂
凪呂
翔ちゃんだけじゃ、ないからね
廻斗
廻斗
俺だって、今も………
翔憂
翔憂
…………




翔憂
翔憂
俺が感じてるものとは、ちゃうやろ


吐き捨てるようにそう言われた2人は、結ばれた青い髪が歩く度に揺れるのを寂しく見つめた。


凪呂はどうしてここまで“あの出来事”に翔憂が固執するか、あまり良く分かっていなかった。

だが、翔憂の背中を追いかける廻斗は思う。




『そうかもしれないけど……俺を頼って欲しかったよ。兄貴』、と。


普段は反発し合い、喧嘩ばかりだが互いに大嫌いなわけでも、消えて欲しいとも思っていない。





だからこそ、自分を頼ってもらえなかったことに少し腹が立つのだった。

ヴーンヴーン ブッ





↺ファイルの終わり ▷もう一度再生する





そろそろ“彼”が本気で動き出すよ、?





あの子たちなら、わかると思うのになぁ…。









トモダチ、なんて結局薄っぺらいんだよ。




特に七不思議が絡むとね。


なんて、あの子たちが聞いたら怒るかな








じゃあね






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