船は静かに大海原を進んでいた。
甲板では潮風を浴びながら景色を眺める人もいれば、船酔いでぐったりしている人もいる。
私は手すりにもたれ、小さく呟いた。
隣ではゴンが目を輝かせて海を見つめている
指差した先では数頭のイルカが船と並ぶように泳いでいた。
自然と笑顔になる。
その時だった
船内に怒鳴り声が響いた。
私とゴンが振り返ると、一人の長身の青年が船員に胸ぐらを掴まれていた。
今にも殴り合いになりそうな空気。
すると、その場へもう一人、金髪の美人さんが歩み寄った。
静かな声だった。
しかし、その一言だけで空気が変わる。
落ち着き払った口調。
どこか大人びた雰囲気。
私は思わず見とれてしまった
そんな私に気付いたのかゴンは、不思議そうに首を傾げる。
慌てて首を横に振る
思わず見とれていたなどそんなことを考えているとは、とても口には出せなかった。
一方、その金髪の人物はあなたの視線に気付いていたが、特に何も言わず、再びサングラスの青年へ視線を向けた。
一触即発。
その時だった。
ゴンが二人の間へ飛び込んだ。














編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!