めめんともりside
危なっかしい足取りで作業部屋へと入る
…いや、入ろうとした
突然足に力が入らなくなって
まるで、死体が蘇り踊るようにふらふらと
あぁ、マズイ
ドアノブを握りながら
呻き声をあげた
が、何も反応が無いのを見る限り
音声は届いていないと思い知らされる
せめて、せめて、PCの近くにいければ
そう、頭では思っていても
私はその場で蹲ることしか出来なかった
あぁ、迷惑かけちゃう
迷惑かけちゃ駄目
でも、もう限界だ
助けてッ
助けて欲しい一心でドアをこじ開けて
PCに向かって
『助けて』
声を出す
あぁ、そうか
どんなに頑張っても、
助けを呼んでも
この声は届かない
自分の行動を恨んで、
自分に苛立ちを感じている
何故ミュートにしてしまったのか
そんなことを考えているうちにも
体調の悪さは変わらず
いや、寧ろ増していっている
あぁ…
届かないなぁッ……












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!