朝、四季は目覚ましを止めると同時に——
枕元にあるはずのスマホがないことに気づいた。
とりあえず制服に着替えて寮を出る。
数分後、校門で皇后崎とすれ違う。
皇后崎は自分のポケットから四季のスマホを取り出す。
朝から自信が砕かれる。
四季はロッカー室で体操服に着替えるが——
自分の上履きがない。
……あれぇ!? 上履きさっきまで履いてたよね!?
花魁坂は四季の上履きをそっと差し出す。
四季の足元を見ると“外履きのまま”だった。
花魁坂に頭ぽんぽんされて、ちょっと泣きそうになる。
四季は筆箱を探していた。
次はお弁当箱を失う。
矢颪は黙って四季の頭を撫でてくれる。
四季はまたしても騒ぎを起こす。
ゆっくり後ろを触る。
顔が真っ赤。
花魁坂は四季の頬をそっと包む。
寝ようとした時——
(花魁坂が四季の部屋まで来てくれている)
布団に顔を埋めてジタバタ。
花魁坂は笑いながら、優しく背中をさすってくれた。
四季は恥ずかしくて、でも少しだけ嬉しくて、そのまま花魁坂の膝に頭を乗せて眠った。
その日、四季が失くしたものは全部戻った。
そしてひとつ増えたものは——
“花魁坂に甘える勇気”だった。












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。