あ、今日はあいつが来る日やな
昼も過ぎた頃、亜白隊長に言われて気づいたわ
そろそろ訓練場で待機したろ
あいつは週に1度この立川基地に来る
なんのためか、やって?
僕もあいつも双剣を使うから、互いの訓練のためにや
2時間限定、第1の方で出動要請入ったら即切り上げやけど
とりあえず訓練室を一つ貸し切る
スーツはなし、純粋な体力勝負
僕やなくてあいつが望んどることや
軽く準備運動をしよったら、霜羽のやつやっと着よった
目は笑っとらん笑顔
今日は本気モードやな
なにがあったかは聞かんとくけど
こいつのことは、防衛隊に入る前
高校の頃からの付き合いや
よう分かっとる
まだ、なにか隠されとるような気もするねんけど
互いに上着を投げ捨てて、武器を構える
まーたあいつシャツ着込んでるな
暑いやろ、僕みたいなインナー着とけばええのに
毎度、手合わせの開始の合図は
互いに踏み出す、タイミングは
14時を告げるアラーム
双剣を抜くタイミングも
踏み出すタイミングも
斬り結ぶその軌道も
乗せる力も
互いに同じ
ほんまに女性なんか?と思うぐらいにあいつの攻撃はいつも重い
の上に速度は僕を少し上回る
保科流も、なんども斬り結んできたがゆえに見切られる
兄貴と同じ、天才
腕も立つし頭も回る、のくせに
こいつはいつも
何事もめんどくさがるし、サボるし、本気は出さん
高校の頃から、そこは嫌いなんよな
それ以外の、立場が上のやつにも
いつもの飄々としとる、いつも、を崩さん
そこは、特に評価できるけど
一気に距離を詰めて斬りかかってくるのを間一髪で避けて
攻撃を入れる
けど、普通に避けられるのほんま腹立つ
バク宙を平気でやり寄って、その飛んどる間に双剣をあわせて弓にして
矢を放ってくる
跳んできた矢を斬り落として
(正確に言うと叩き落とす、やけどな)
まだ弓を分解しないで構えとる霜羽のところまで
距離を詰める
え、上からなんか当たったんやけど
なにが飛んできて、、、、、
矢や
嘘やろ、あの間に射つとかどういう腕力やねん
パタリと床に大の字になる
悔しいねん、また兄貴みたいな天才に負けるとか
上からニコニコしながら見下ろしてくる霜羽
僕が立ち上がる気のないのを察したんか
「さー休憩休憩〜」
とかいいながらベンチに戻る霜羽
僕に見えんように咳き込むながら
薬を何錠も飲んどることを
この時僕はまだ知らんかった
亜白隊長に言われるまで、気づけんかった
next→












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!