第10話

過保護にも程がある
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2025/03/24 04:26 更新
この世界のどこかにある、とある小さな村。

その村の周りには、どこまでも広く綺麗な草原と、青空が広がっている。



その草原に、5歳くらいと思われる4人の子供たちが集まって話をしていた。
ク……アさ……また…理をし………
1人…勝手………しな…で………よ…
次……同…………した…罰…して……です……ね
1人の"彼"を囲む3人の"誰か"が、"彼"のことを叱っているようだった。

何を話しているのかは分からないけど、3人の"誰か"の表情には、心配と優しさが垣間見える。
分かったよ
3人の"誰か"の会話は聞こえなかったのに、"彼"の言葉だけは、やけにはっきりと聞き取ることができた。







みんな、大切な友達だもん
白髪の"彼"が、そう呟いた。


































これは、遠い昔の物語。
クロノア
ん……
意識が浮上るすと共にまず感じたのは、身体の熱さだった。


自分でも熱が出てると分かるくらい身体が熱く、だるい。




重い瞼を開けて、だるさで動かない腕を無理矢理動かして上半身を持ち上げた。
しにがみ
ちょっとクロノアさん!無理して起き上がろうとしないで!
布の擦れる音で起きたことを気づいたらしいしにがみ君が、無理矢理体を起こそうとする俺を見て、すぐにベッドに寝かせつけられた。


服装がさっき着てた猫耳パーカーのままだったから、そこまで時間が経っていないと分かった。


ご丁寧にフードまで被せられてるのはびっくりしたけど……
クロノア
別に起き上がるくらい…できるけど……
しにがみ
何言ってんですか!!
しにがみ
クロノアさん今熱あるんですよ!しかも39.8℃!
しにがみ
全然大丈夫なレベルじゃないんですけど!
しにがみ君の大声に頭がズキズキと痛む。
クロノア
分かった、分かったからちょっと静かに…
ぺいんと
クロノアさん目覚めたの!?
ぺいんとの叫び声に近い大声が頭に響いてすごい痛い…
しにがみ
ぺいんとさん!医務室では静かにして下さいよ!!
クロノア
2人とも…静かにしてよ……ゴホゴホッ
しにがみ
あ、ごめんなさい…
それにしても身体がだるい…

咳が出るし頭が痛い。
クロノア
そういえば、倒れる前にらっだぁさんがいた気が……
らっだぁ
呼んだ?
クロノア
あ、らっだぁさゴホゴホッ…ゲホゴホッ!
しにがみ
クロノアさん、1回水飲んで!
クロノア
ん……
しにがみ君が急いで水を取ってきてくれた。


ぺいんとに身体を、しにがみ君に手を支えて貰いながらゆっくりと水を飲んだ。
クロノア
ありぃがとしにがみくん…
しにがみ
喉もやられてるっぽいんであんまり喋らないでください
無言で頷くだけにして、医務室の様子を見た。

薬を調合しているしにがみ君、俺の足元で安心した表情を見せるぺいんと、扉付近に立っているトラゾーと何故か一緒にいるらっだぁさん……
クロノア
ねぇぺいんと、なんでらっだぁさんがいるの?
ぺいんと
なんか遊びに来たみたいですよ
クロノア
遊びに……
一国の総統がこんな気軽に遊びに来ても大丈夫なのか心配になってきた。
らっだぁ
ぺいんと達に絡みに……遊びに行こうと思ったら急にノアさんが倒れてびっくりしたよ
クロノア
それは……すみません
らっだぁ
いやいや、ノアさんは悪くないよ!
しにがみ
いや、クロノアさんは悪いですよ
白い粉の入った小さな袋を持って、しにがみ君が近づいてきた。


口は笑ってるけど目は全く笑ってなくて結構怖い。
しにがみ
何回言ったら分かるんですか!?
しにがみ
1人で無理しない、怪我とか病気を隠さない!
俺が説教されてる様子がそこまで面白いのか分からないけど、らっだぁさんが笑っていた。
クロノア
らっだぁさん!笑わないでよ
らっだぁ
いや、だって、ノアさんが怒られてるの見ると面白くてw
恥ずかしいから今来てるパーカーのフードで顔を隠したかったけど、手がだるくて動かせないからフードを下げたくても下げれない……
しにがみ
とにかく!これ、飲んでください
手に持っている小さな袋を渡された。
らっだぁ
しにがみさん、それは?
しにがみ
解熱剤です
しにがみ
クロノアさん薬に耐性あるんで、僕が調薬した強い薬じゃないと効かないんですよ
クロノア
いつもありがとね…
しにがみ
いえいえ、これが僕の仕事ですから!
しにがみ
で、飲んでください
クロノア
……やだ
褒めれば誤魔化せると思ったけどやっぱり駄目だった…

しにがみ君に監視されながら小さな袋に入っている粉薬を飲み込む。
クロノア
苦い……
口の中に薬の苦味が広がってく。


それと同時に強烈な眠気が襲ってきた。
クロノア
あれ、しにがみ君、これ…解熱剤じゃ……
しにがみ君のほっとした表情を見ながら深い眠りについた。
ノアさんが薬を飲んだと思ったら倒れるように眠ってしまった。
らっだぁ
え、しにがみさん、あれって解熱剤じゃないの?
しにがみ
解熱剤ですよ
しにがみ
睡眠薬の成分がほとんどですけど……
らっだぁ
ほぼ睡眠薬じゃん…
しにがみ
そこまでしないと寝てくれないんですよ
過保護にも程があるだろ……


3人がノアさんのこと大切にしてるのは昔からそうだった。

最近はだいぶ過保護具合が上がってるけど……
ぺいんと
らっだぁ、ちょっと部屋移動していい?
ぺいんと
せっかくクロノアさん寝たのに起こしたくないから…
らっだぁ
りょーかい
ぺいんとだけ移動するのかと思ったらしにがみさんとトラゾーも一緒に着いてきた。





らっだぁ
ここは……?
ぺいんと
俺の自室
ぺいんと
ここなら上層部以外誰も入ってこないから
らっだぁ
へ〜
らっだぁ
ぺいんとにしてはよく考えてるじゃん
ぺいんと
一言余計だよ!
しにがみ
www
トラゾー
やっぱりぺいんとはまだらっだぁさんに敵わないなw
すごいふんわりした雰囲気になってるけど、人が来ないような場所にわざわざ移動したということは、何かしら裏があるはずだ。
らっだぁ
で、なんで部屋を変えたんだ?
さっきまでの空気とは打って変わって、3人が真剣な表情を見せた。

少しピリついている。
ぺいんと
これからする質問、正直に答えろ
ぺいんと
嘘をついたら……分かってるよな?
ぺいんとが俺の前に立ちはだかり、しにがみさんとトラゾーが俺の後ろに立つ構図になった。



なるほど。
嘘をついたら命は無いって訳か。







なら、俺も外交モードになるか。

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