第46話

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2025/07/25 05:37 更新
あなたの下の名前(カタカナ)
嫌だなぁ…
手が震える
自分が自分でなくなる
知っている
過去の栄華が、記憶を取り戻す度に人格を蝕む
それでも蝕む人格すら、私とあまり変わりが無いと言ったら嘘では無い
元は私は悪魔ですらなくて
魔神イフリートにちょこっと因縁があるだけの魔神だから
ちょっと前まで、人格の混同が問題だったのに
今や、過去に蝕まれて
一体なんだってんだ
あなたの下の名前(カタカナ)
イフリートが私を傷つけた事があるって知ったら
あなたの下の名前(カタカナ)
エイトはどんな反応をするのかしら
くすっと笑いが溢れている事実に鳥肌が立つ
コレが昔の私だった
あなたの下の名前(カタカナ)
これだから本当に
あなたの下の名前(カタカナ)
嫌なんだ
なんで私が循環なんかしなきゃいけなかったんだよ
またアレスタは循環しようとしているし
あなたの下の名前(カタカナ)
はぁーあ、困った弟君ですわ
本当に困った弟だ
実家に帰ったら1発ぶん殴ってやらないと気が済まない
魔法が解除された今
少々元祖返りした思考に理性のブレーキをかける
部屋のテーブルにあるグラスが手元に飛んできて収まった瞬間に握り潰される
あなたの下の名前(カタカナ)
あなたの下の名前(カタカナ)
汚れちゃうな
ガラス片が浮いて、グラスの形を再度取り戻す
あなたの下の名前(カタカナ)
あ"ーおかしくなりそう
カルエゴ卿らはウォルターパークのホテルで泊まっているが
私は次の日には予定があるという理由でさっさと帰ってきた
心の中で無駄に発生する破壊衝動を、手の中に収まるグラスで処理する
あなたの下の名前(カタカナ)
だめだーだめだー飲み込まれたら終わりだー
ガシャン、バキッと、音を立ててグラスが割れて、すぐに家系能力でもとの形を作り直す
最近はそんなデカイ事件があった訳でもないし、仕事が立て込んでいた訳でもないのだが
こんなにも変な衝動があるのは、循環のせいだと言っていいのだろうか
まだ日も暮れていない
そのうち、悪魔の子が私を呼びに来る
夕食だと声をかけに来る
今日は、食べない方が身のためだろう
きっと、暖かな夕食を冷たいものに、汚いものに変えてしまう
タバコを箱から出して、火をつける
ベランダの縁に手をついて、沈もうとする日を眺める
重たい煙が肺の中を満たしていく
あなたの下の名前(カタカナ)
…しんどい
イフリート・ジン・エイト
どーしたの
イフリート・ジン・エイト
なにがしんどいの?
優しいエイトの声
肩に伸びるエイトの手を小さな1センチ程の空気の箱で伸びてきた手の軌道を逸らす
こんな自制もできない時に触れられると
非常に困る
あなたの下の名前(カタカナ)
夕飯、要らないから
イフリート・ジン・エイト
え?
イフリート・ジン・エイト
あ、ちょっと、イフリート!
イフリート・ジン・エイト
出てきちゃダメ…威嚇はダメだよ!
後ろを見れば
エイトを守るようにして、私に威嚇をする
イフリートの姿があった
流石魔神の力だ
元の魔神に染み付いた本能と事情をよく知っている
あなたの下の名前(カタカナ)
イフリート家に危害を加えようなんざなんも考えてないよ
あなたの下の名前(カタカナ)
タダ、ほんの少しずつ取り戻す過程で、悪周期に近くなってるだけさ
そう諭そうが、イフリートは威嚇したまんま
エイトは何も分かってなさそうだった
イフリート・ジン・エイト
何を言ってるの
イフリート・ジン・エイト
イフリートもほら、それに、イフリートも落ち着いて
目を伏せて、ベランダの奥へと視線を移す
あなたの下の名前(カタカナ)
知らなくていいんだよ
あなたの下の名前(カタカナ)
魔神のちょっとした
あなたの下の名前(カタカナ)
戯れでしかないんだから
戯れ…ねぇ…
戯言も程々にしなくちゃいけない
私とアレスタと魔神イフリートの因縁
地獄
亀裂
そして対面拒否
1番魔神という存在を嫌ったのはアレスタで、1番距離を置いていたのは私だった
だから、悪魔と姿を寄せて、悪魔の中に溶け込んだというのに
こんな形で威嚇されるだなんてね
少し前まで大丈夫だったのに
私が記憶を取り戻して行くからだろうか
それが、お互い傷つく原因になるからだろうか
正味どうでもいい
私が例え魔神と距離を取ろうが、当分はここに居なきゃいけない契約である
あなたの下の名前(カタカナ)
ほら、夕飯が冷めるよエイト
あなたの下の名前(カタカナ)
早く行きな
イフリート・ジン・エイト
でも
あなたの下の名前(カタカナ)
イフリートが警戒しているんだ
あなたの下の名前(カタカナ)
私を連れていくと大変なことになるだろう
あなたの下の名前(カタカナ)
夕飯は要らないから
あなたの下の名前(カタカナ)
ね。
カタカタと机の上に置かれたグラスが動いている音がする
そして、そのまま、バキッと音を立ててグラスが割れる
やめよう
こんな暴走
イフリート・ジン・エイト
あなたの下の名前(カタカナ)…
あなたの下の名前(カタカナ)
やめようね
あなたの下の名前(カタカナ)
危ないことは
あなたの下の名前(カタカナ)
悪魔ヒトの子は弱いからさ
表情は見えない
見ない
見ようとしない
見たくない
ただ、ゆったり流れる時の中
日が沈むのを私は立ち上る煙のフィルター越しに
ただ、見ていた
何秒かの葛藤の音の後、引き返す音が鳴った
扉が閉まる音がして、私はベランダにもたれかかって、顔を埋める
あなたの下の名前(カタカナ)
あ"ーっ、クッソ……
あなたの下の名前(カタカナ)
最悪だ……
エイトのイフリートが、私を敵に回すようになった
私が私でなくなった
確固たる証拠かもしれない
オリアス・オズワール
あれ、おはようございます
オリアス・オズワール
アプリコット先生
あなたの下の名前(カタカナ)
おはようございます
オリアス・オズワール
珍しいですねこんな時間に
あなたの下の名前(カタカナ)
朝の3時とかですもんね
あなたの下の名前(カタカナ)
オリアス先生は、まだ寝てない感じですか?
オリアス・オズワール
まぁ、そうですね
あなたの下の名前(カタカナ)
私は早番の警備があるんで行ってきます
オリアス・オズワール
あ、そうなんですね
オリアス・オズワール
お気をつけて
私は軽く会釈して、その場を離れる
離れる私を背に、オリアス先生が思い出したように呟いたのを私は聞き逃さなかった
オリアス・オズワール
あれ、今日アプリコット先生って、代休じゃなかったっけ
休んでたら変に頭おかしくなるから仕事することにしたんだよ
なんて
言える訳もなく
ただ、忙殺される日々に身を投じることにしたのだ
キリヲの脱走の件
イルマくんの保護
やることは山積みだ

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