夏油が瞬時に手を伸ばすが、結局間に合わずにそのまま地面へ吸い込まれ、あなたは消えた。
少しの間、五条と夏油は唖然とする。
夏油が珍しく舌打ちをした。
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落下した後、激しく尻もちをつく。
…ここどこ?
さっきとはまた別の景色が広がる空間だ。
私が一人でいると危ない。多分だけど…私には手に負えない呪いなんだろう。
だって景色を変えるなんて普通のことじゃない。
立ち上がって歩き出そうとしたその時、
後ろから声が聞こえ、慌てて飛び退いた。
そこには同い年くらいの男性がおり、酷い怪我を負っていた。
見たところ呪術師ではない。
呪霊…のことだろう。
一般人がいるのなら尚更早く二人と合流しなくては。
男性は立ち上がろうとするが、顔を歪めて再度座り込んでしまう。
見れば男性の片足には、何かで引っかかれたような大きな傷があった。
…そうだ。まだ他人に試したことはないけれど…
傷のある男性の片足に触れ、取得したばかりの反転術式を施そうと頑張る。
不慣れで反転術式が途切れてしまったり、本当に少しずつだが、傷が癒えていた。
振り向くよりも先に男性を無理やり引っ張る。すると先程までいた場所に、大きな穴が騒音と共に空いた。
男性の視線の先を追えば、
見たこともない強い呪霊が私達を見て笑っていた。
男性と共に私の体も恐怖で固まる。
思わず零れた本音。
それが聞こえたのだろう。
怒鳴られて肩が跳ねる。
私は頼りないと思ったのだろう。男性は完治していない足を引きずるようにして、逃げようとした。
すると呪霊が一瞬で男性の目の前に現れる。
男性は腰が引け、その場から動けなくなってしまった。
呪霊は高々と腕を上げると、男性に向かって刺すように振り下ろす。
何とかギリギリで男性を庇えたが、呪霊の爪のような物が頬を掠めて怪我をしてしまった。
…怖がっている場合じゃない。
人を守る。それが呪術師で、それが呪術師である私の使命。
怖がってばかりは…いられない。
頷いた男性を後ろに庇うようにして立つと、私は笑っている呪霊を睨みつけた。











編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!