昨日、リノがBARに忘れていった財布を届けてやった。
ポケットに手を突っ込みながらゆっくりゆっくり歩いてくる姿に少々苛立つ。
それにしても、まさか本当にあなたと職場が一緒とは思わなかった。
そんなに自分のお人形さんが大事か?
なんだよ、持ってきてやったのに
気だるそうに俺の手から財布をとる
それにしても女社員の視線はリノに集まってる。モテてるんだろうか
モテるだろうな。俺よりはモテてないだろうけどなんて悪態を着いてやった。
まぁ顔がいいから?
挨拶してきた社員たちに見たこともない笑顔で微笑んでいる。正直いって気味が悪い
それにこいつの本当の顔を知らないできゃーきゃー言ってる女たちもたかが知れる。
専門学生の時とは違う大人なあいつを
正直、馬鹿には出来なかった。
元々、後輩として可愛がってやってたのに恩知らずもいいところだ
まぁ周りから見たらただのいじめに過ぎないけど、俺もリノも顔がいいからな。全部許される
俺の失恋を慰めてくれるために脱いでくれたの嬉しかったんだけどな〜
また脱いでもらう?
やばい。本気で抱きたい
笑った?何か面白いこと言ったかなとリノの顔を覗き込む。
女ウケする気に食わない顔で笑ってる
でも気づいた時には遅かった
会社ならいくらあなたの話をしてもいいと油断した俺が馬鹿で浅はかだった。
気味の悪い笑顔で殺気ひとつなく俺に近づきながら、高そうな革靴でサンダルをはいた俺の足を踏みながら耳元でいう。
ドスの効いたその声に恐怖で動けなくなった俺の顔をにこりと笑って見て職場に戻っていった。
表情と言葉があってねぇよ...。大人になってこんなに恐怖心を煽られるのはなかなかない。
普通、そんな脅しをされても気にもしない。ただ、リノなら本当にやりかねない。
あいつのあなたに対する感情はなんなのだろうか。
俺はより一層、あいつにそんなことをさせるあなたに興味が湧いた。














編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。