さとみくんside
いつも思う、俺はなんで生きてるんだろうって
勉強がてきるわけでも運動ができるわけでもない
特別絵がうまいわけでも、歌がうまいわけでもない
俺みたいなのは社会に必要なのかってたまに思う
俺は最近、自殺する場所を夜な夜な探している
飛び降り自殺でも、首吊り自殺でもいい
はやく消えたかった
その日も夜な夜な歩いていた
どこかから、泣いている声が聞こえる__
この街は治安が悪い。
人が泣いているなんて珍しいことではない
普段は無視するのになぜか今日は路地裏を覗いていた
そこには水色の髪をした、少年が座り込んでいた
肌が白く、鼻が高い
かわいい顔をしていた。
タイプだった、すごく
俺はその子に一目惚れした
俺は思わず声をかけていた
その子が顔を上げる
その子の顔を見て、すごく驚いた
宝石のような瞳だった。
光のすべてがそこに集められたような瞳だった。
そこからは、何を話したのかはわからない。
その子に魅了されて、何を話しているかもわからなかった
少年はころんと名乗った。
ころんは俺とどこか似ている気がした
返事までかわいい
あ、やべっ
何言うか考えてなかった
じゃあ…思ったこと素直に言うかぁ
その時、ころんはすごく嬉しそうな顔をした
さっきまで俯いてたから笑顔を見れて俺もすごく嬉しかった
予想できない答えだった
泣きそうな顔をして話すころん……
こっちまで泣きそうになる
頭を撫でてやる、俺にはこのくらいしかできない
ころんの目に光るものが見えた
泣きながら、心の内を語ってくれた
すごく辛かっただろうな……
俺も親に捨てられ、施設で育った。
でも、施設の職員にいじめられ、早々に施設をでた
きっと、そんな俺でも想像できない痛みをころんは感じてる
辺にはころんの泣く声だけが響いた
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!