No slime
キン と音がして、呪霊が薄くスライスされた。
か細い声を上げる呪霊スライスを、宿儺が掴む。
ズチュ
呪霊の心臓あたりに手をいれた。
ズルンッ
取り出したのは宿儺の指。
核を取られた呪霊は消滅した。
異変に気付いた宿儺は、邪悪な笑みを浮かべた。
生得領域が閉じた!!
特級が死んだんだ。
後は虎杖が戻れば…
宿儺…!?
虎杖が宿儺を抑えられてない…!!
宿儺はビリビリと制服を破く。
そして心臓あたりに手を突っ込んだ。
目の前で起きていることが理解できず、伏黒は固まる。
手にはまだ鼓動する心臓。
心臓を地面に投げ捨て、宿儺は笑いながら言った。
宿儺の指!!
特級が
取り込んでいたのか!!
不平等な現実のみが平等に与えられている
腕が治ってる。
治癒…
反転術式が使えるんだ。
宿儺は受肉してる。
心臓なしで生きられるとはいえ
ダメージはあるはずだ。
虎杖が戻る前に心臓を治させる。
心臓を欠いた体では
俺に勝てないと
思わせるんだ。
できるか?
特級の前ですら
動けなかった俺に。
できるかじゃねぇ
やるんだよ!!
鵺を調伏させる。
宿儺は髪を上に上げながらも言った。
ガガガガ
伏黒が宿儺に攻撃するが、容易く受け止められる。
そう言って、宿儺が伏黒の顔面に一発いれた。
伏黒が隙を見て「大蛇」を調伏した。
地面から大蛇が現れ、宿儺をくわえる。
後ろから鵺が攻撃した。
宿儺がニマァと笑みを浮かべた。
大蛇が半分に裂かれ、空から黒い雨が降る。
ブンッ
伏黒が、いとも容易く上空に飛ばされた。
呪術うんぬんじゃない!!
膂カも
敏捷性も!!
格が違う!!
ボグッ
空でも殴られる。
が何とか鵺が受け止めた。
ズウン…
轟音と共に地に落ちた。
抉れた建物の下で、伏黒は座り込んでいた。
「鵺」も限界だ。
壊される前に
解いた方がいいな。
生得領域を抜けるのに
式神一通り使っちまった。
しかも「玉犬」(白)と「大蛇」は
破壊されてる。
もう呪力が一
ズン
宿儺が地面に降り立った。
バレた所で
問題はない。
バレバレか。
不平等な現実のみが平等に与えられている
疑う余地のない
善人だった。
誰よりも
幸せになるべき人だった。
それでも津美紀は
呪われた。
俺の性別も知らず
”恵”なんて名前を付けた父親は
今も何処かで
のうのうと生きてる。
因果応報は
全自動ではない。
悪人は法の下で
初めて裁かれる。
呪術師はそんな”報い”の歯車の一つだ。
少しでも
多くの善人が
平等を
享受できる様に
俺は不平等に
人を助ける。
ズズズズ
ビリビリビリ
「ハ握一」
紋様が消えていく。
ボタボタ
血が落ちていく。
フラッ っとよろめいた。
ドサッ
空は灰色で、雨がザァーザァー と降っていた。













編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。