第134話

仮免
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2022/03/23 15:11
あなたの荷物が運び終わった頃、
相澤が寮に入ってきた
相澤消太
相澤消太
我妻、ちょっといいか
相澤の声に、後藤に肩車をされたまま
あなたが振り返る
(なまえ)
あなた
はい!
あなたが後藤に見えるように指を指すと、
後藤が180度回転して相澤に向き合う形になる
相澤消太
相澤消太
……何してる?
(なまえ)
あなた
肩車ですね
言わずともわかるだろう。そこじゃない
相澤は少しの逡巡の後、まあいいかと呟いた
相澤消太
相澤消太
我妻、お前が退学処分に
なっていた間のことだが
(なまえ)
あなた
はい
全員
全員
(続けるの!?)
てっきり中断するものだと思っていた
クラスメイトたちは動揺が隠せない
さすがに後藤があなたに進言し、
あなたは後藤の肩をおりた
(なまえ)
あなた
で、どうしましたか?
相澤消太
相澤消太
ああ
相澤消太
相澤消太
我妻が休んでいた間にあった
仮免取得の件なんだが……
(なまえ)
あなた
あ、私持ってますよ
後藤がおもむろにウェストポーチを漁り、
あなたの仮免許を出した
全員
全員
え!?
思わず声を上げる生徒たちと違い、
相澤は至って冷静だ
相澤消太
相澤消太
やっぱり持ってたか
全員
全員
はい!?
まるで知っていたかのような相澤の口ぶりに、
生徒たちはそろそろ失神寸前になっている
相澤消太
相澤消太
せめて補習に参加できないか
問い合わせたら我妻の名前は
取得済み名簿に既にあると言われてな
(なまえ)
あなた
鬼殺隊は階級が甲になった時点で
仮免取得が義務付けられるんです
(なまえ)
あなた
準柱や柱になったあとでは
そんな時間さらさらありませんから
つまり、早い者では中学のうちに
取得するということだ
そして、鬼殺隊はほとんど実践第一の部隊なので
連携、突発的事象への対応など
全てにおいて慣れっこであり
基本仮免試験に落ちる者はいない
(なまえ)
あなた
経験に優る知識なしってやつです!
相澤消太
相澤消太
そのようだな
頷く相澤を他所に、生徒は全員揃って鬼殺隊の
レベルの高さに引いていたとかいなかったとか

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