翌朝、ルカ先輩の希望通り、私たちは再び屋敷を調査することになった。
(……あなたの特待生の名前さん、なんだか隈が酷い気がする…)
(魁斗先輩も…眠れてなさそう……)
インターホンを鳴らしても、ルカ先輩が大きな声で呼びかけても、応答はない。
その時、屋敷の玄関ドアがゆっくりと開いた。
(…あれ?昨日会ったはずなのに、覚えてない…?忘れっぽい人、なのかな…?)
こちらの返答も待たず、扉が閉められる。
辺りがまた、しん、と静まり返った。
ルカ先輩はそう言うと、裏庭へと向かってしまった。
魁斗先輩が一足先に、ルカ先輩を追いかける。
(ルカ先輩って、こういうところあるよね……)
私とあなたの特待生の名前さんも、ルカ先輩の背を急いで追った。
屋敷を囲う高い外壁に阻まれ、そのままでは裏庭が見えないため、ルカ先輩が魁斗先輩を肩車することになった。
ちなみに、あなたの特待生の名前さんに「肩車しましょうか?」って言ってみたが、すぐに断られてしまった。
(私には、そんなことはできない……本当に───)
言葉がいつの間にか、ぽろりとこぼれていた。
顎に手を当て考え込んでいるルカ先輩の真後ろに、バランスを崩した魁斗先輩が勢いよく落ちた。
腕まくりした魁斗先輩の手首に、じわっと血が滲むのが見えた。












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。