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第29話

28.読唇術
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2026/01/03 13:00 更新
         
歩二 魁斗
ったく……昨日、あんなことがあったってのによ〜……
歩二 魁斗
な〜んでまたこんなとこ、来なきゃいけねえんだよ……
      
ルーカス・エラント
大丈夫だよ、魁斗
ルーカス・エラント
奴らは夜にしか姿を現さない
ルーカス・エラント
とにかく今は情報を集めよう
        
翌朝、ルカ先輩の希望通り、私たちは再び屋敷を調査することになった。
(……あなたの特待生の名前さん、なんだか隈が酷い気がする…)
      
歩二 魁斗
……ふわあ…
      
(魁斗先輩も…眠れてなさそう……)
       
ルーカス・エラント
おはようございます!
ルーカス・エラント
どなたかいらっしゃいませんか?
        
インターホンを鳴らしても、ルカ先輩が大きな声で呼びかけても、応答はない。
        
ルーカス・エラント
……誰もいないのか?
     
歩二 魁斗
……昨日あなたちゃんがうち破っちゃった窓ガラス、綺麗に片付けられてるね
歩二 魁斗
それに、おれがあそこに置いといた袋もなくなってる
歩二 魁斗
誰もいないはずねえよ
        
ルーカス・エラント
そうか……何かあったんだろうか……
     
その時、屋敷の玄関ドアがゆっくりと開いた。
       
.
……遅くなりまして、申し訳ありません
      
ルーカス・エラント
貴方は、昨日の……
       
.
……?
        
(…あれ?昨日会ったはずなのに、覚えてない…?忘れっぽい人、なのかな…?)
        
ルーカス・エラント
いえ、早朝から失礼します
ルーカス・エラント
俺たち、あしながさんに救済をお願いしに――
        
.
申し訳ありません
.
本日は客人のご来訪をお断りしております
       
こちらの返答も待たず、扉が閉められる。
辺りがまた、しん、と静まり返った。
        
歩二 魁斗
だそうで、一応あの人も無事みたいだし、もういいだろ?帰ろうぜ
       
ルーカス・エラント
……妙だな
       
歩二 魁斗
なにがよ
       
ルーカス・エラント
静かすぎるんだよ
ルーカス・エラント
この屋敷には、子供たちも住んでいるんだろう?
      
歩二 魁斗
そう言われてみりゃ、そうかもだけど……
       
ルーカス・エラント
裏庭へ回ってみよう
      
ルカ先輩はそう言うと、裏庭へと向かってしまった。
      
歩二 魁斗
あ、おい!も〜……めんどくせえなあ
       
魁斗先輩が一足先に、ルカ先輩を追いかける。
(ルカ先輩って、こういうところあるよね……)
私とあなたの特待生の名前さんも、ルカ先輩の背を急いで追った。
           
ルーカス・エラント
……どうだ?見えるか?
         
歩二 魁斗
いてて!おまえ、ちょっと!壁におれの膝こすってるっつうの!
       
屋敷を囲う高い外壁に阻まれ、そのままでは裏庭が見えないため、ルカ先輩が魁斗先輩を肩車することになった。
ちなみに、あなたの特待生の名前さんに「肩車しましょうか?」って言ってみたが、すぐに断られてしまった。
      
歩二 魁斗
お、遠くに人がいんな
歩二 魁斗
大人がふたり……なんか話してる
         
ルーカス・エラント
遠くに……さすがに会話は聞こえないか
         
歩二 魁斗
……ついに今夜は特別な晩餐ですね
歩二 魁斗
ようやく我々が食事にありつける
歩二 魁斗
丸々と肥えた食材の数々……
歩二 魁斗
スペシャルメニューが楽しみです
        
ルーカス・エラント
魁斗、会話が聞こえているのか?
      
歩二 魁斗
いや、おれ、目がいいからさ
歩二 魁斗
唇の動きでなに言ってんのか、わかるんだよね
   
(私には、そんなことはできない……本当に───)
       
あなた
……すごいな…
       
言葉がいつの間にか、ぽろりとこぼれていた。
         
歩二 魁斗
え、まじ?き、きもくないの!?
        
あなた
いわゆる読唇術、ですよね?
あなた
私には読唇術はできないので、すごいな、と……
         
歩二 魁斗
へ、へへ!エヘヘ!なんだよ〜!
歩二 魁斗
褒めてもらえるなら、もっと早く言えば――
歩二 魁斗
ってちょちょちょ、お、おま、急に腕離さっ!
歩二 魁斗
ァァアアア!?
        
顎に手を当て考え込んでいるルカ先輩の真後ろに、バランスを崩した魁斗先輩が勢いよく落ちた。
      
ルーカス・エラント
特別な、晩餐……
      
歩二 魁斗
〜ってえ……おいルカ!
歩二 魁斗
また怪我したじゃねえか怪我ァア!!
      
ルーカス・エラント
すまない……考え事をしていたら……
        
腕まくりした魁斗先輩の手首に、じわっと血が滲むのが見えた。
        
       
無 。
だいぶ遅くなりましたが、明けましておめでとうございます…!
無 。
今年もよろしくお願いします!
          

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