あなたの下の名前side
氷電……ヒサメちゃんと、腐血…カゲチヨ
の顔を思い浮かべながら力を使う。
急に流れ込んできた声に、
2人とも驚いているようだったが
しばらくすると黙り込んでしまった。
少し気まずい沈黙が続く。
だが2人は次の瞬間、ハッとしたような声を発し、
とヒサメちゃんが言う。
私は自分のことを覚えててくれたのが
たまらなく嬉しくて、
思わず笑みが零れた。
…こんなことをしている場合ではない。
そんなことを考えていると、
ヒサメちゃんが口を開いた。
……そうではない。
でも完全にそうではないと言ったら嘘になる。
自分でも分からない。別にフィーアみたいに
トッププレデターに忠誠を誓ってるわけじゃないし。
……私はただの、"トッププレデターに売られる前の
記憶がある実験動物"に過ぎない。
私はそのヒサメちゃんの問いに、
曖昧に答えを濁して答えることしか出来なかった。
私の目的、か……
今は取り敢えず…
そう言うと、ヒサメちゃんとカゲチヨは、
心底驚いたというような声を上げていた。
……大袈裟に驚いている。
でも、非術師からしたらそうなるのだろう。
何とかパニックから抜け出そうと言葉を発する。
……だが、
……逆にもっとパニックになった。←
……違う違う。
こんなことをしている場合じゃない。
今の私に言えることは、それだけだった。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!