ザワザワ……ザワザワ……
うわぁっ…………
マネージャー希望者でこんなに人集まるの??
しかも、久遠寺さんと同じく他の希望者を品定めするように目をギラギラさせている子ばかり。
私を含めたマネージャー希望者達は今、男子バレー部の体育館前に集まっている
北「あなた、周りの空気に呑まれそうやぞ、
大丈夫や。あなたは自信持ってええ。」
信介くんが声を掛けてくれた。
ほんとに気圧されていたから少し安心する
あなた「信介くん…!
すごい人数だね、そんなに人気だったんだマネージャー。」
北「はっきり言うて迷惑や。」
尾白「去年は双子と同じ学年の1年が多かったけど、今年はどの学年も満遍なくおるからな〜」
北「受験控えた3年が今更マネージャーやる意味がわからん。もっと有効的な時間の使い方したらええのに。」
信介くんの正論ってほんとに正論だよね……
信介くんの希望者達を見る目が、憐れみや呆れを含んで見えた。
「キャァァァーーーーーー!!!!」
あなた「!?!?えっ何?」
耳が痛くなるほどの叫び声と共に〝侑〟という単語が聞こえた。
よく見ると、希望者の群れの中に
すごく嫌そうな顔をした侑くんが居た。
尾白「ははっ、すごい顔やな侑。」
あなた「すごい顔……」
バチッ!
その光景を眺めていると、ちょうど侑くんと目が合った。
私はそのまま目を逸らそうとしたけど、相手は何故かこちらへ向かってくる。
侑「俺はまだ、認めたわけやないからな!」
本日2度目の認めてない頂きました
何にそんなムキになってんだろ……別に認めて貰いたいとか思ってないのに。
侑くんはそのまま体育館の中へ消えてった。
あなた「あの、あれは……」
尾白「ほんま、素直やないなぁ侑は(笑)」
北「あれは気にせんでええよ。あなたしかマネージャーする奴は居らんって言いたいんやろ。」
あなた「そーなんですかね……」
あの言葉にそんな意味が含まれるのか…
日本語はやっぱり難しい(日本語関係ない)
北「そろそろ俺らも行くわ、もうちょっとで指示あるから、頑張ってな。」
あなた「はいっ」
尾白「可愛い後輩持ったな俺ら!」
北「手のかかる後輩や。侑は」
尾白「手のかかるんが可愛いんやろー」
北「ははっ、そーなんかもな」
そんな会話をしながら去っていく2人。
学年がひとつ違うだけで、存在を大きく感じた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。