第621話

没落
14
2025/11/02 14:47 更新
ミケ)ねぇー待ってよぉ
ファミレスで一人バク食いってどうしちゃったのお嬢様
月美里向 ツキミサトコウ
詩愛は店を出てから一言も話さない

ミケ)泣いていたこと告げ口しちゃうかもよ?

その言葉でようやく静かに足を止める

ミケ)そりゃ才色兼備、文武両道何でも兼ね備えていれば悩みの一つや二つあるか
あ~あそれにしても羨ましいよ1度くらい貴方みたいな人生歩んでみたい
月美里向 ツキミサトコウ
だったら歩んで見ればいいじゃない!!
詩愛はミケの腕を強く掴み引っ張って歩く
ミケ)どこ行くかそろそろ教えてよ〜

その言葉と同時に詩愛の家にたどり着く

ミケ)古いアパート?

詩愛はまだ手を離さず、階段を登り家を開け中まで連れ込みようやく開放する
月美里向 ツキミサトコウ
どう!
ここがあなたが言う私の人生よ!!
月美里向 ツキミサトコウ
ボロアパートで壁は薄い
家賃は激安なのにそれを払うのにすら苦労してる!
毎日学校、仕事、レッスン、コンビニバイトをするだけの日々
ご飯はコンビニの値引きか破棄されるお弁当!
温かいご飯だって今日が久しぶりだった…
月美里向 ツキミサトコウ
中学生までは本当にお嬢様だった
毎日家族と一緒に温かい母の手作りのご飯も食べて、
休みの日は出かけて
私の夢も心の底から応援してくれた
月美里向 ツキミサトコウ
だけどそんな幸せな日なんて長くは続かないと思い知らされた
父が事業に失敗してからはどん底の毎日
明るかった父は人が変わって私達に暴力を振るうようになり
今はなんと父はアルコール中毒で更生施設
そんなの父にたいきれず精神を病んだ母
病院で治療を受けていたずなのに、いつの間に失踪して
ごめんって書かれた手紙だけが残され
これが没落貴族だね
月美里向 ツキミサトコウ
そこからは私は生活に追われる日々
外見は見栄を張っても、中身は薄っぺらい人間
月美里向 ツキミサトコウ
あの窓だって!
指を指した方はダンボールとガムテープだけで補強されている昨晩父が割った窓
月美里向 ツキミサトコウ
更生施設から逃げてきた父が割ったの
新しい窓なんてとてもじゃないけど買えない…
月美里向 ツキミサトコウ
私が頑張って頑張って!…働いたお金も父の飲み代にほとんど使われて…
月美里向 ツキミサトコウ
これが初めてじゃない…
初めてじゃないけど耐えられなくて、ファミレスでやけ食いしてたの…
ミケの前だというのに涙は勝手に流れか止めるに止められない

少しの沈黙のあと詩愛は笑う
月美里向 ツキミサトコウ
あなたは私が他と組まないのは自信があるからだと言った
それは違う
自信じゃなくて他人が信じられないから組みたくないの
裏切られて傷つくのは私だから
月美里向 ツキミサトコウ
私は他人に微塵も興味ないの
それなのにみんな私に期待して
月美里向 ツキミサトコウ
貴方もこんな私を見たら引くに決まってる
真実も知れば、私から離れる
いいわね人間って身勝手な生き物で
言いたいことを言い終え、一人泣いているとこれまで黙っていたミケが口を開く

ミケ)なーんだ!
あなたにも隠したいことあったんだ!
月美里向 ツキミサトコウ
…え?
ミケ)いやー正直貴方って何でもできるから悔しいなーって、だからユニット断られたとき絶対弱み握ってやる!って思って付きまとってたんだけど、全く掴めなくて困ってたんだよ
けどまさか自分から打ち明けてくれるなんてね
机のそばに胡座をかいて座り込む

ミケ)私の家代々医者家系でね
その割に特に押し付けもなく放任主義で
有り難いことに兄貴が二人いるから跡継ぎの心配もなく
好きにアイドルもできてるの
月美里向 ツキミサトコウ
…なに?
幸せの自慢話?
もしかして同情でもしようとしてるの?
ミケ)うん!そうだよ!

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