朝、6時半。アラームで起きる。
今日は夕方からバイトが入っていて、トイレで着替えとメイクを濃くしてから、夜にホストクラブに行こうと思っている。顔に自信がないとかそういうわけではない。普通にナチュラルメイクで外に出ているし。ただ、ホストクラブにいる子はみんなかわいいと思っているからメイクで盛っている。昼までどうしようかと思っていたその時、スマホが鳴った。
画面を見る。
萌留
『今日、私の家で会える?話がしたい。』
萌留からだった。たびたびこうして家に呼ばれたりお茶に誘われたりする。とりあえず返信しよう。
『いいよ。3時までなら会える』
『ありがと。いつ来ても大丈夫。』
『わかった、9時までに行くね』
『うん』
萌留の家は駅から私の家とは反対方向に歩いて15分くらいだ。だいたい自転車で向かっている。
萌留も一人暮らしで、家に行く度散らかっていて、私が片付けている。萌留は昔からずっと誰かと一緒じゃないと片付けできない子だ。
今日もたぶん片付けることになるだろうな。
私は、とりあえず着替えて顔を洗うことにした。
❅
いつも通りメイクをする。ファンデーションに軽くアイシャドウ、アイブロウをして、ビューラーで睫毛を上げて、マスカラを付け、パウダーを乗せたら完成。いつもと変わらない顔が完成した。
ホストクラブに行く時は濃いメイクをしているけれど、慣れない。ホストクラブの楽しさを知って、何回も行くようになったから、同時にメイクも練習しないと。かっこいい人と会うときはテンションも上がるし、綺麗にメイクできたらいいな。
メイクを終わらせ、今度は持ち物を準備する。
除菌ティッシュが減っていたからクローゼットから取り出してバッグに入れる。
(あ、コンタクトつけてない…)
すぐに手を洗って、付ける。
持ち物確認をしたら、朝食を作る。
(パンとジャム、コーンスープでいいかな…最近毎朝これ食べてるな)
パンを焼く。私は3分焼いて、冷えたジャムが温かくなった頃に食べるのが好き。ジャムを冷蔵庫から取り出す。次に、コーンスープの粉末をマグカップに入れ、沸いたお湯を入れてよくかき混ぜたら完成。あとはパンが焼けるのを待つのみだ。
2分後、パンが焼けたので、ジャムを塗っていただくことにする。
「いただきまーす」
サクサクとしたパンに甘いジャム、シンプルだけどおいしい。食べ終わったら、天気を見て萌留の家に行こう。
❅
萌留の家へ自転車を漕いで向かった。
家へ着き、チャイムを押す。すると、萌留が
「うわぁぁぁん会いたかったよ!!!」と大声で出迎えた。
「どうしたのそんなに慌てて」
「慌ててはないよ。お友達が来るからテンション上がっただけ!」
「そっか…?」私はいつも不安定な彼女に感情を振り回されていることに気がついた。
「いやぁ話したいことがあってさ、ホストのこと」
「なんでホストなの…?」
「まあ、とりあえずこっち来て」
私はリビングに案内された。
「あのね、天使乃恵留の話なんだけど、昨日私ANGELに行ったの」
「どうだった?性格変わってた?」
「変わってた…最悪だった」
「でしょ!?おかしいよね」
「うん、狂ってるよあれは。あたし、最初はウソだと思ってたけどホントだった。」
「どうしてあんな変わってたんだろう…なんかある時間によってキャラが変わるとかなのかな」
「キャラ変したとか」
「うーん…なんなんだろう、わかんないけど今日とりあえずANGELに行くから、調べてくるね」
「うん」
やはり天使乃恵留はおかしい。時間でキャラ変…そんなことあるわけない。私はその後、萌留といろいろ話してからバイトへ向かった。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!