2006年某日___
ダンッ!🚪
乱暴に教室の扉が開く。
硝子は窓際のあなたの机の中を漁り、500円玉を取り出した。
夜蛾が散髪したという情報を得た悟とあなた。
角刈りになってくるか坊主になってくるかにワンコイン賭けていた。
そう言いながら窓から顔を出しタバコを加える硝子。
下にあなたの姿を見つける。
それを聞きつけ窓際にくる悟。
何となく傑もついてくる。
あなたはちょうど車に乗り込むところだった。
500円玉を掲げニヤリと笑う悟を見上げたあなたは、すぐさま中指を立てる。
呆れたように笑う傑。
目が合うと、あなたは打って変わって弾けるような笑顔を見せた。
傑に向けてとは明らかに違う種類の笑顔で手を振り車に乗り込むあなた。
あなたを乗せた車が発進する。
数時間後____
傑の携帯を覗き込む悟。
あなたと悟の唯一の共通点:甘党
はしゃぐ悟とあなた。
おばあちゃんフィルター
傑→父親
悟→兄
あなた→妹
わちゃわちゃ会計をしている間に、傑の姿が見えなくなっていた。
外に出ると、傑はベンチに腰掛けてラムネを飲んでいた。
もうラムネはなくなりかけている。
何度も瓶を傾けて飲む傑。
そんな何でもない風景に、
あなたは瞳を揺らしながら見惚れていた。
額から頬へ、首筋から鎖骨へと伝う汗、喉仏、綺麗な横顔、…
見惚れる要因はあなたからすればいくらでもあった。
傑はふとその視線に気づく。
傑は飲み干すと、空っぽの瓶を差し出してきた。
ケラケラ笑う悟を横目に、特に欲しかったわけでもないが瓶を受け取る。
力を込めるが、なかなか開かない。
と、傑が異変に気づく。
傑はあなたに近づくと、グイッとあなたの袖を捲り上げた。
あなたの腕からパタっと血が落ちる。
その場凌ぎに巻いたであろう無造作な包帯は真っ赤に染まり、制服にも血が染み込んでいた。
扉が開き、悟と傑が入ってくる。
完璧に回復した腕を軽く回す。
バリボリと駄菓子を頬張りながらカルパスの箱を渡す悟。
しれっとカルパスを食べる傑。
硝子は箱に手を突っ込み大量に掴み取りするとポケットに突っ込んだ。そして何事もなかったかのようにタバコを口に咥える。
LOSE:あなた
ピッ ガコン。
自販機でコーラを四つ買うと、二つずつ持ち並んで歩く。
傑が差し出してきたのは透明なビー玉だった。
一瞬ハテナを浮かばせたが、すぐにラムネ瓶の中のビー玉だと気づく。
傑の手の平からビー玉を取る。
空にかざしてみると、太陽の光が反射してキラキラと光る。
ビー玉を眺めるあなたを見て微笑む傑。
ムッとするあなたを宥めるようにクスッと笑う。
天宮城の本家は京の方にある。
相変わらずビー玉を見ていたあなたはそれをギュッと手に握った。
その夜、小腹が空いたあなたは、台所(高専生徒共同スペース)に足を運んだ。
硝子も深夜飯によるデブ化の道連れにしようと思ったが、硝子の部屋から凄まじいイビキが聞こえ、誘うのをやめた。
忍び足で冷蔵庫を開ける。
ずらりと甘味が並んであった。
名札付きの。
🍮『さとる♡』
🍩『僕の』
🍰『食ったらコロす 悟』
申し訳程度に隅にいくつかある炭酸水とエナジードリンクは傑のものだろう。
冷蔵庫を静かに閉め、頭上の戸棚を開ける。
そこには今日の戦利品、駄菓子たち。
一応みんなで食べる用のものだ。
食べとくか、と背伸びをして菓子に手を伸ばした瞬間。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。