小学校の最後の年、俺は独りぼっちで
誰もが俺のことを怖かって避けていた
関わってくれたとしても、知り合い程度で
毎日誰かしらに縋っていて
だからこそ、中学では絶対に失敗しないようにと、
心から誓って生きてきた
たまたま昔から、人を見る癖があった
作り笑いも直ぐにわかるし、
手癖とか、足踏みの回数とか、
そういうので全部相手の感情を察して、
それっぽく動いてきた
これを、俺は転用した
どういう時にどういうことをすれば
相手はこういう反応をする
どんな仕草をどんな時に入れたら
相手はこういう反応をする
だから、こうしたら相手の望むようになる
そんなことをひたすら繰り返して
それで、それで俺は、嫌われずに済んだ
家に帰って、制御できない感情をぶつける
ぶつける先は、自分の身体
グッと太もも引いて出た、赤色
でも、俺は臆病だから、全然赤色が出なくて
その分、赤色の出ない赤黒い線だけが永遠と増えていく
ODはできない、
一度やってみたけれど、俺は人より薬に弱いらしく
ふわふわはたったの一瞬で、基本吐き気しかなくて
授業なんて受けられなくなった
リスカだってできない、
体育の着替えの時間でバレそうになるから
だから、一番マシなのが太ももだった
でも、満たされることなんてなくて
ため息と共に出てくるのは
嗚咽すらない嫉妬の涙
愛されたい、愛されてて羨ましいという
醜い感情が溢れ出たモノ
でも、その涙もすぐに止まってしまう
俺は、泣いても目が赤くならないから
泣いたことがバレることはなくて
だから、学校で泣いても、誰にもバレなかった
よかったと思う反面、誰かに気がついて欲しかった
SOSを出して、愛されて、救われたかった
いつしか、意図的に無理するようになった
明らかに大丈夫ではない生活を始めたら
みるみるうちに関わってくれる人は増えた
愛されている、っていう感覚がして
罪悪感はあったけれども、好きだった
それが、きっと病気なのだとしても
俺は、そこまでしても愛されたかった
でも、その感情とは真逆で
身体の不調を、無視することも多かった
38.6で倒れてる物語が馬鹿馬鹿しかった
それぐらいなら、身体が動かしづらくはなるし
動かしたくもなくなるし、辛いけれども
倒れるなんてほどじゃない
もし、その熱で倒れるんだとしたら
俺は、年に5〜6回は確実に倒れてる
39.6を超えると、体育が出来なくなるけど
それまでは体調を繕って動き続けていた
わざと無理して、心配されたくはあるのに
こういう部分だけは、なんとなく隠したかった
……もしくは、そういう自分が、
好き、なのかもしれない
変な話、少し似てんなって思った
勿論色々違う部分の方が多いんだけれども
根本的な部分が似ている気がした
人の秘密を、何らかの理由で気がついていて
それを、助けたいと思っていることとか
だから、みことのことは一緒にいると安心した
みことと一緒にいるだけで、少しだけ気持ちも晴れた
みこととなら、一緒にいててもいいな、なんて思えた
まるで、魔法みたいだった
でも、みことは壊れてきている
入学した当初は、純粋無垢だったのに
隣のクラスの奴が転校してから、
どんどんみことは壊れていった
みことが、どうしてそうなったのか
俺はわからなかったけれど、それが怖かった
なんで、俺はあんなことを言ってしまったんだろう
未だに俺はそれを、後悔している
もし、神様が本当にいるのだったら
優しすぎる彼だけは、これ以上汚さないでください












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。