29話はこちら。
ymmt side
「はぁ…っ、はぁ…っ」
思いっきり走ってさっき後にしたはずの病院に行く。
また戻って来たら受付のナースさん達はびっくりするのだろうかとかいつもだったら思うだろうけど、そんなことを考えている暇もなかった。
病院に転がり込むと受付のナースさん達は既視感とは別に駆け込んできた僕にびっくりしていた。
病院の中は走らず、でも、急いで病室に向かう。
「ここだ……!」
いざ病室ドアを開ける。という時、怖くなった。
このまま僕は入っても良いのだろうか。
とか、
こうちゃんには酷いことしたのに。
と、そこまで考えて、やめた。
こうちゃんは僕と向き合ってくれてる。
だから、
僕もこうちゃんと向き合わなくちゃ。
ドアを開ける。そこには相変わらず痛々しいこうちゃんが居た。
こう「山本さん…」
「……、」
喜びたかった。ふわって笑って笑顔で接したかった。けど、それはまだ無理だった。
……勇んでドアは開けれても、接し方は変えれないのかな。
「話って…?」
気持ちを心の底に押し込みながら聞く。
……いや、やっぱりこれじゃ駄目だ。
こうちゃんの「…あの」って言う言葉を遮って須貝さんに告白されたことを伝える。
……無理矢理過ぎたし急に話してしまった。こうちゃんが凄い驚いてる。
他に話したいことも沢山あるけど、でも、これが今の僕の思い。
自分勝手でごめんなさい。
話したいですって言ってくれたのに僕から話しちゃってごめんなさい。
これで自分勝手は最後にするから。
お願い。こうちゃん。
「助けて」
遅くなってごめんなさい!!!!!
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!