第19話

I want you to notice .
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2026/03/14 15:38 更新
js side





僕がその言葉に返せずにいると、
サンウォンが小さく息を吐いた。

そして
僕の手からスマホを取るわけでもなく、
少しだけ声が届く距離で言った。


˹ ジュンソさん、肉焦げますよ ˼


思わず鉄板を見る。
慌ててトングを動かすと、
ジュウ、と音が鳴った。

その様子を聞いて、
電話の向こうでゴヌが小さく笑う。


「 やっぱり … 一緒にいるんですね 」


その声は
さっきより低くて、消えてしまいそうだった。


『 ゴヌ … 』


ゴヌにはもう関係ないでしょ


そんな冷たい言葉を
かけようとしたときだった。


「 迎えに行きましょうか 」


『 え ? 』

思わず聞き返す。


「 雪降ってるし 」

「 僕とくっついて帰りましょうよ 」


甘えるような、冗談みたいな言い方だったけど、
その声はどこか本気だった。



僕は困って
テーブルを見る。

どう答えるのが正しいのか
分からなかった。

その前で
サンウォンは静かに肉を裏返していた。


『 大丈夫だよ 』

やっとそう言う。


『 サンウォンが、いるから 』

少し迷って、口にした言葉だった。


その瞬間、
鉄板の音だけが店に響く。

電話の向こうで
ゴヌが息を吐く。


「 …… そっか 」


少しの沈黙。

それから
ゴヌが静かに言った。


「 分かりました、 」

「 気をつけて帰ってください 」


ゴヌはさっきの調子とは反対に、
僕に呆れたような、そんな言い方をした。

通話が切れる。
僕は少しの間、スマホを見たままでいた。
gw side




上司に誘われ断れずに着いてきた飲み会の途中、
久しぶりに飲みすぎたな、と思いながら

酔いを覚ますために店を出ると、
冷たい空気が顔に当たった。


頭も身体もふらつく。


「 …飲みすぎたかな 」


そう言いながら
ポケットからスマホを取り出す。

画面が光って、
一番上の名前が目に入る。


【 ジュンソ 】


その名前を見た瞬間、
さっきまで考えてもいなかったのに
頭の中があっという間に埋まった。

ジュンソは今
誰かといるのかな。

何をしてるんだろう。

自分でも
面倒くさいと思う。


「 …… ほんと、重すぎ俺 」


ひとりで小さく笑って、
それでも通話ボタンを押した。

コール音が
雪の降る夜に響く。

数秒後、
電話が繋がった。


『 …もしもし 』


その声を聞いた瞬間、
胸の奥がまた熱くなる。


「 ジュンソ… 」


自分でも分かるくらい
声が掠れていた。


『 どうしたの 』


何を話すかなんて考えてなかったのに、
勝手に口からでた言葉。


「 会いたい 」


スマホを耳に当てる手がかじかんでくる。


「 今から会えませんか 」


少しの沈黙。

電話の向こうで
何か音がする。

鉄板の音。

それから
別の男の声が聞こえた。


˹ ジュンソさん、肉焦げますよ ˼


一瞬、
頭が真っ白になる。

やっぱり、頭の端で考えていたことが現実になる。

雪が落ちてくる空を見上げた。


「 やっぱり … 一緒にいるんですね 」


自分でも驚くくらい
寂しそうな声になった。


『 ゴヌ… 』


その呼び方が
少しだけ優しくて、逆に苦しくなる。



少し可愛く、冗談っぽく言う。


「 迎えに行きましょうか 」


『 え? 』


困った様子のジュンソをよそに、続ける。


「 雪降ってるし 」


「 僕とくっついて帰りましょうよ 」


本当は冗談じゃない。

でも、
そういう言い方しかできなかった。

少しの沈黙。

それから
ジュンソの声が聞こえる。


『 大丈夫だよ 』


胸の奥が
少しだけざわつく。
分かっていたはずだった。


『 サンウォンがいるから 』


その名前を聞いた瞬間、
見上げていた目線を落とす。


雪が
ゆっくり落ちていく。


「 …… そっか 」


数秒、
何も言えなかった。

それから
静かに言う。


「 分かりました 」


少し笑って続ける。


「 気をつけて帰ってください 」


通話を切る。

スマホの画面が
暗くなった。

しばらく
そのまま立っていた。

それから
小さく息を吐く。


「 …… 戻るか 」


そう言いながら

振り返り、また
がやつく店内へと足を進めた。

店の灯りが
すぐ後ろにあった。


でも
気づいた時には
もう店を出ていた。
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