第3話

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2026/02/28 11:48 更新





   エニーカラー本社の休憩ブースは、
   思ったより静かだった。

   不破くんとの案件配信までまだ少し
   時間があるらしく、スタッフの姿もまばら。
   コーヒーメーカーの低い音だけが響いていた。




   あなたは、紙コップを両手で包み込みながら、
   視線をテーブルに落とした。

   こんな相談、するつもりじゃなかったのに。










 fw
 なるほどね〜 





   向かいのソファにだらしなく
   腰掛けた同僚の不破くんが、
   ホットコーヒーを飲みながら笑う。



 fw
 要はあなたちゃんはローレンに、 
 もっと激しくされたいんや




あなた
 ……んー……
 そういう訳じゃないけど…





   即答できない時点で、
   もう図星みたいなものだ。

   “激しく”って言葉に、
   自分で勝手に赤くなる。
   そんなつもりじゃないのに。






あなた
 ちょっとは責められても
 いいかな〜とか思ったり……? 





   声がどんどん小さくなる。
   不破くんが一瞬、目を丸くしてから笑った。





 fw
 はは、淫 乱やん(笑    



あなた
 は!?違うし⁉︎ 





   反射的に否定する。胸の奥が熱くなる。
   違う、違う。ただ________。





 fw
 んー、まぁあなたちゃん、
 多少M気質なトコあると
 思ってたし、あんま驚かんけど 



   さらっと言われて、ぐっと言葉に詰まる。



あなた
 ……ぇ" 


あなた
 ……それって
 いつからデスカ…





 fw
 ろふまお塾で電流喰らった時
 ちょっと嬉しそうやったし、 


あなた
 ……   





   自分では隠してるつもりだったのに。

   ローレンには絶対知られたくなかった部分。
   不破くんは、悪気なく肩をすくめる。





 fw
 そんなん、本人に
 言ってみたらええやん 


 fw
 「もう少し激しくシてほしい」って 






あなた
 ………言える訳ないでしょ 





   即答だった。そんなこと、
   口に出せるわけがない。
   想像しただけで、顔が熱くなる。






あなた
 そんな事言ったら、
 幻滅されちゃうもん 




   ローレンは優しい。

   私のことを大事にしてくれる。
   そんな彼に、“もっと強くしてほしい”なんて。
   欲深い女だって思われるかもしれない。

   不破くんは、紙コップに
   口をつけたままじっとあなたを見た。





 fw
 いやぁ?男は嬉しいと思うよ?
 好きな子から誘ってもらえるの 




あなた
 ないないない 



   首をぶんぶん振る。




あなた
 あの人にそんな
 特殊癖ないってば 



あなた
 それに、ローレンには 
 可愛く見られたいの




   ぽつりと本音が落ちる。


   可愛い彼女でいたい。

   欲張りな女じゃなくて、
   守ってあげたくなる存在で。
   少なくとも、そう思われていたい。






 fw
 ……んは(笑   



   不破くんが堪えきれずに笑う。

  
 fw
 恋してるね〜〜? 



   どこか優しいからかい声に、
   あなたは唇を尖らせる。



あなた
 恋してるんだよ 




   即答だった。そこに迷いはない。
   だからこそ、怖い。
   本音を見せて嫌われるのが。



   相談相手をミスったかもしれない。
   そんなことを考えながら、
   私は紙コップの中身を一気に飲み干した。






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