あれから何日か経ち、あなたの下の名前は回復し、速やかに漆坂の場所を特定した。
薄暗い倉庫。
男と少女が2人。
あなたの下の名前は護身用に持っていた小刀を取り出し漆坂に向けた。
あなたの下の名前の圧勝。
漆坂は壁に追いやられて、尻餅をついた状態で、あなたの下の名前に刃を向けられていた。
紅葉に鍛えられたあなたの下の名前と少し武道を齧った程度の漆坂では分が悪かったようだ。
後に、漆坂はこう語った。
浮気の復讐、という目的で愛する人を殺したのに、中途半端で辞めるのはいけないと思った。
愛する人を殺して、元々殺すはずだった命を放ったらかすのでは、彼女が浮かばれないと。
だがこれは自分の中での言い訳に過ぎなかった。
目茶苦茶で、何もわからないまま、ただそのモヤを晴らしたくて、彼は人を殺した。
それでどうにかなるはずがないということを、頭の隅に追いやって。
その言葉を最後に、漆坂は息絶えた。
8年後、その殺したはずの男は、櫻木崇人という偽名をもって、あなたの下の名前(詳しくするとその後輩)の前に再び姿を現した。
そうは言っているが、実際太宰はこうなることを予測して、漆坂の情報というより、彼が雇った異能力者の情報を集めていた。
乱歩も同様だろう。
※現在乱歩不在
ポートマフィアに集めてもらった情報も、有効活用しないと、とあなたの下の名前は呟いた。
あなたの下の名前の言葉で一喜一憂する太宰を見て、あなたの下の名前は楽しそうに少し笑った。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。