第136話

☪·̩͙
2,969
2024/08/30 13:23 更新



若狭side





気持ちを伝えた日から数週間。



俺たちの関係は全く別のものに変わってしまった。






























と、言うことは全くなく、



今まで通りの関係を続けられている。



武臣「運が良かったな。」



若狭『……あいつが優しいだけ』



客の単車をメンテ中の真ちゃんの後ろ姿を眺めながら武臣の言葉に少し間を開けて返事をする。



今、アイツは道場だろうか。きっといつも通り笑顔で、厳しさと優しさの鞭を使い分けて指導してるんだろう。



もし、アイツも俺のことが好きだったら…



そこまで考えかけて、思考を止めた。



妄想なんかしてもただ虚しいだけだ。



俺の我儘を伝えても今までの関係を続けていてくれる事が有難いと思わなければいけない。



そう言い聞かせるようにしていたらポケットから振動を感じた。



若狭『…?』



届いたメールは彼女かららしく、噂をすればだなと隣から声が飛んでくる。



若狭『画面見んな。』



武臣「悪ぃ悪ぃ見えちまったんだよ」



武臣に文句を言いながらメールを開くと



✉️【じいちゃんが梨いっぱい貰ってきたの。いる?】



という短いメール。



【食う。取りいくわ。】と短い返事を打ち、送るとすぐに返事が返ってきた。



✉️【道場まで来て。】



メールを受け取ってすぐに俺は真ちゃんの店を出た。



真ちゃん「ん?ワカもう帰んの?」



扉を開けて声をかけてくる真ちゃんに軽く返事をする。



若狭『ウン。またね。』



そう言って俺はザリにキーを挿した。





━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━






門の前にザリを停め、そのまま門を潜るが、中は静まり返っている。



裏に回ってみるかと思い、飛び石を渡って道場の裏に足を進める。



裏に回るとあなたの師範の家に灯りが着いているのが見えた。



ベルを鳴らして少し待つと中からトタトタと足音が聞こえてきて、引き戸が開いた。



あなた「ごめん、おまたせ若狭。入ってー。」



若狭『ん、お邪魔しまーす。』



あなた「梨いっぱいあるんだけど真たちも食べるよね。」



若狭『わかんねぇけど持っていきゃ食うでしょ。』



あなた「そっか」



そんな話をしながらあなたの後ろを着いて台所まで歩く



台所の引き戸を開けると積み上げられたダンボールが目に入る。



若狭『え、思ってたより多いんだけど』



あなた「これでも減らした方なんだよ。生徒達に持って帰らせて。」



あなた「皆じいちゃん梨が好きだって知ってるから毎年いっぱい送られてくるんだけど今年は桁違い…」



あなた「袋持ってくるね。好きなだけ持って帰ってくれていいから。」



そう言うと、あなたは台所の奥へ消えていった。



若狭『……さすがに多すぎだろ…』



3箱ほど積み上げられたダンボールに向き直り、ボソリと呟くと、後ろの引き戸が開く音がした。



師範「お、いらっしゃい。」



若狭『あ、お邪魔してます。』



師範「いっぱい持って帰ってなぁ。俺だけじゃ腐らしちまうからさ。」



若狭『すげぇ量っすもんね』



師範「ほんとだよ」



豪快に笑いながらダンボールの蓋を開けるじいさんの脇から中を覗くが、梨がぎっしりと詰まっている。



あなた「はい袋。好きなだけ持って帰ってー」



いつの間にか戻ってきていたあなたから袋を渡されるが、袋の大きさからしてかなりの量を持って帰って欲しいのだと悟る。



若狭『……明日真ちゃん達のとこに持ってくわ。さすがにこの量食ったら腹壊す。』



あなた「万次郎とエマもいるしいっぱい食べてくれそう。」



若狭『武臣のとこにも持ってくか』



あなた「じゃあもう1袋持ってこよ〜」



ザリで持って帰れるか…?と思ったがまぁどうにかなるだろと諦め、手で袋とダンボールを往復した。





━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━






若狭『……すげぇ量…』



結局結構デカめな袋2袋にパンパンに入れられた梨を持って帰る事になり、思わず苦笑いする。



あなた「これザリふらつかない?大丈夫?」



若狭『まぁ行けるっしょ。帰ろうぜ後ろ乗れ。梨落とさないように抱えてろよ。』



あなた『頑張る』



ザリに跨り、鍵を挿しながらあなたにヘルメットを差し出すが、受け取る気配がない。



梨に手こずってるのか?と思い、あなたの方を向くがあなたは後方の道路を見つめたまま動かない。



若狭『…あなた?』



何見てるんだ?と後ろを見るが何も無い。



あなた「いや、なんでもない。気のせいだったみたい。」



そう言うと、何事も無かったかの様に後ろに跨る。



若狭『ふーん。んじゃ行くぞ。ちゃんと掴まってろよ。』



あなたの返事を聞いていつも通りハンドルをまわした。



___NEXT



✂ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー✂



おまたせしました!お久しぶりです!

プリ小説オーディオドラマ