昔のことはあまり覚えていない
というか、いい思い出がない
覚えているのは、父と、母と、兄と、妹、5人家族だったこと
たしか、父が有名な野球選手だった
父は僕が6になる年に、○害されて、この世を去った
その時から、家族が歪み出した
母は精神を病んで、家族に八つ当たりするようになった
兄は素行が悪く、夜中まで帰ってこないことがしょっちゅうだった
僕は妹を守るのに必死だった
妹が僕の心の支えだったのを覚えている
片親だってことだけでいじめられた
ボロボロの教科書
画鋲だらけの靴
無視が広がる教室
居場所のない学校
先生達は見て見ぬ振りをした、大人は本当に都合のいい生き物だ
自分の立場を守るために、子供に声をかけていい大人のふりをする
PTAだとか、教育委員会とかに潰されない方法を知っているから子供を見捨てることができる
大人はみんなクズだ
兄の素行の悪さは歳を重ねるにつれて悪くなった
最初は未成年飲酒、喫煙から始まり
だんだんヒートアップした
最終的には薬物に手を出した
闇業者から買い、他の人たちに配り共犯にし
そこら辺のサラリーマン達を殴り
財布を奪う
強盗、暴力
いろんなことで警察に連れてかれては、親を呼び出され、僕と母が必死で謝る
そんな生活が続いた
正直○にたかった
明日さえ来なければ、こんな地獄を見なくて済むと思っていた
夢も希望もないこの世界をみたくなかった
そんなある時、転機が起きた
たまたまつけてたテレビに野球が映った
母は野球を見るのを許可してくれず、見るのはニュースかアニメだけだった
野球界で活躍する人たちはみんな輝いていて
一瞬で僕を虜にした
僕の将来の夢は
『野球選手』
〇〇中学校 2年
龍城あなた
題名:なりたいもの
最優秀賞作品












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。