......目を覚ますと、白色の天井が見える。
ガバッと体を起こして回りを見渡す。カーテンが閉めてある。ここは保健室だ。
あれから、泉先輩がただひたすらと暴れまわっていた。兄に向かって。
愛情を確認していたのだろう。
私の様子を見にきてくれたと思われる松慎くん。
微笑みながら保健室のベッドの横に置いてあった椅子に座って私の方を見る。
なんで私が気を失っていたのかは一切覚えていない
なぜか松慎くんは私に向かって心配している。
その理由はわからない。自分でもなにがおかしいのか理解できていないからだ。
松慎くんは私の頬に手を当て、言った。
思ってもいなかった言葉に、絶句する。
そんなこと気にしてもいなかったが、確かめてみると頬に水が伝っている。
そう言われても、黙ってしまうのが本心だ。
“ 辛いんじゃないの? ” って言われても私にはわからない。辛いかもしれない。けど辛い、とは思っていない。
どっちかわからない。ほんとに、...。
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!