小籠包を買った俺たちは、ちょうど空いている席を見つけたのでその席を取って他にもいくつかの料理を買ってきた。
「小籠包アツアツそうだね」
「うん、あなた火傷気をつけて」
「レノもね!」
2人で「いただきます」をして、火傷をしないように慎重に食べ始める。
「おぉ、美味しい!」
一口食べて、思わず声を上げる。
「ね!美味しい、スープたっぷり!」
「本格的だ、感動した」
「本当にね、食堂の新メニューに中華いいかもなぁ」
「食堂のメニューを考えるのも、あなたたちがしてるの?」
「してるよ!レノも希望があったら言ってね、確実に実現するとは言えないけど」
「わかった、食べたいものあったら言うね」
とはいえ、すでに食堂のメニューは充実していて和洋中に加えてエスニックなものもある。
「レノは高校の頃はお弁当ってどうしてた?私は自分で使ってたんだよね」
「俺も作ってたなぁ、たまに祖母が作ってくれることもあって、その日はすごい昼が楽しみだった」
怪獣災害で両親と兄を亡くした俺にとって、祖母は母親のような存在でもある。
炊事や洗濯といった家事はできるだけ自分でしていたけど、時々作ってくれる祖母の料理が好きだった。
「レノはすごいね」
「いや、そんなことはないけど」
「今も、朝とか早起きして訓練して、任務もして過ごしているわけでしょ?尊敬するなぁ」
「急になんすか……ありがとう、ございます」
照れて敬語になってしまった。
あなたの素直に人を褒められるところ、俺はすごいと思うけどな。
「そういえば、前から気になってたんだけど、レノって彼女いるの?」
「俺?いないよ、いたら2人で出掛けないし」
「たしかに、レノそういうところ真面目そう」
「あなたは?彼氏いるのか?」
「いない!私もいたら2人で出掛けないよ」
いない、と聞いて胸を撫で下ろす。
大学生だし、高校から誰とでも仲良かったし、いるんじゃないかなとも少し思っていたから安心した。
「気になってる人、とかは?いる?」
「うーんとね、それは、いるよ?」
「そうなんだ、大学の人とか?」
自分だったらいいなと思いつつ、当たり障りのないような返答をする。
「ううん、うーん、なんていうか、バイト先の人?っていうのかな」
「食堂で働いてる人?」
「違くて、防衛隊の人!レノは?気になってる人、いる?」
防衛隊の人というところをもう少し突っ込みたかったが、あなたに質問されてしまった。
「気になる人は、俺もいる」
「同期の人とか?」
「いや……」
どうしよう、言ってしまおうか。
「俺の気になる人は、あなただ」
「ほ、ほんとに?」
「嘘つかないよ、気になるというかもっとはっきり言うと好き、っすね」
「そっか、わぁ、どうしよう、めっちゃ嬉しい」
「嫌じゃない……?」
「嫌なわけないじゃん!てか、私の気になってる防衛隊の人はね、市川レノって言うんだよ」












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。