午前の訓練がまだ終わってない時間のため、食堂はまだ比較的空いていた。
先に注文して、料理を受け取り席に着く。
「いただきます」と言って食べ始めたあなたに気になったことを投げかける。
「あなた!さっき保科とも連絡先の交換してなかったか?」
「え?うん、流れ的にする感じだったから……」
「断ればよかっただろ」
「それは流石に感じ悪いでしょ」
そんなこと言えないよ、というあなたになんだがモヤモヤした気持ちが強まる。
「あなたは、ボクの友達だろッ!」
「そうだよ」
「じゃあボク以外と連絡とっちゃダメだッ!」
「えぇ?!なにその理論?そもそも保科さんもなんとなく流れで教えてって言っただけで連絡はしてこないと思うけど……」
ピコン。
「あっ保科さんからだ」
「来たじゃないかッッ!!」
保科ァァ!ボクの許可なく、ボクの友達に易々と連絡しおって!連絡きたらあなたは律儀に返すだろ。
「返信、していい?」
「後にしろ!ボクと一緒にいる間はイヤだ!」
「わかった、後で返すよ」
スマホをしまったあなたはボクに向き直ると「なんで連絡するの嫌なの?」と聞いてきた。
「イヤなものはイヤなんだ!」
「弦、それ、ただのわがまま」
わがまま。まぁたしかにわがままなのかもしれない。だが、だって嫌なのだ。取られてしまうかもしれないではないか。
「……取られるんじゃないかと思うとイヤなんだ」
「え?」
「あなたはボクのなのに!保科や四ノ宮とすぐに仲良くなって!取られそうでイヤなんだッッ!」
「なんだ、そんなこと心配してたのかぁ」
「なんだとはなんだ!ボクにとっては重大なんだぞ!」
そんなこと、と言うあなたの言い方に腹を立てていると、あなたがボクの頭をぽんぽんと撫でた。
「私は弦のなんでしょ、そんな心配しなくていいの」
「ほんとにか?保科とゲームしたり四ノ宮と出掛けたりしないか?」
「弦抜きではしないよ」
「そうか」
「安心した?」
「あぁ!やはりボクのあなたはよくわかっているな!」
「良かった良かった」
「よし!ボクが特別に食器を片してきてやろう!」
「お願いします」
sideあなた
今のうちに保科さんからの連絡返しちゃおう。
そもそもどんな内容がきてるんだろう?
弦のことよろしく頼まれちゃった。
長い付き合いになりそうだなぁ。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。