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第10話

そこにあるしあわせ
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2019/12/13 16:04

(深夜)あんなにおれ走ったんだよ?もう買い物いくの? コンビニがいいよ。スーパーだるい。遠いしさ。


(ユン)おなかすいたって言ってるの深夜でしょ~。スーパーもコンビニもそんなに時間変わらないよ?


(深夜)またスーパー行ったらさ、俺が作る感じになるじゃん。疲れてるし、コンビニ弁当でいいよ。走って疲れたよ。


(ユン)スーパーいくよー!


(深夜)あーわかったよ~



すこし明るい返事を

久しぶりに聞けて

うれしい



ふたりで5分で着くコンビニを通り過ぎ

8分かけてスーパーへ



実はおれは

スーパーへ行けて

すごくうれしいんだ



なんでかって?



そんなの簡単だよ!



ユンと

お散歩できる時間が

すこし増えるからね!



ユンもおなじかもね?



スーパーにつくと

ユンは足早に

お弁当を

とってきた



でもさ

実はあー言ったけど

ユンのために

作る料理を考えていたから

すこし複雑な気持ち



でも

俺が

料理してる時間は

退屈らしいよ



だからいいんだって



女性の気持ちって

難しいね

わかんないや



レジを俺が済ませ

袋にいれてるあいだ

出入口で待ってるよう

お願いしたんだ




え?



ユン..?



そっちは車が!



ユン!




ユン!



ユン!




ユンっ!





白い世界は

だんだんと

色を取り戻していった



まだ

僕の心臓は

たかい音を

早いリズムで

刻んでいた



気づくと

僕は

ユンのベッドの上にいた



部屋のすみでは

ユンが

泣き続けていた




僕も泣いた



でも…




ぼくの
おなかもなった



ぐう~~~~~




二人とも笑ってしまった




(深夜)あのさ、スーパーまでお弁当を買いにいこう?



(ユン)…あいてないんじゃない?



(深夜)とりあえずさ、スーパーまで行ってみようよ



(ユン)…うん。いいよ。



(深夜)レジでお金はらってる時もさ、ずっととなりにいてくれない?



(ユン)いいよ




僕らは二人で買い物をして


現実ではちゃんと

二人でこの部屋に帰ってこれて


夜遅くに

売れ残りの

お弁当を

温めもせずに

食べた



味は分からなかった



でも


しあわせだった






(深夜)ユンさ、もう死ぬなんて言わないで欲しいな



(ユン)…うん



(深夜)俺がとなりにいるからね



(ユン)うん




テーブルの上に

ぬいぐるみがいる



そういえば

忘れていた



水族館の帰りに

ペンギンの

ぬいぐるみを買って

プレゼントしたんだった



そのぬいぐるみは

ずっと

ユンのことを

見守っていた





ユン

生きていてくれて

ありがとう






そういえば

スーパーからの帰り道

キレイな星が見えていた



とてもキレイだった



またキレイな星が見たいから

今夜から

また

上を向いて過ごすことにした





-続く-


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