冷たいスマホを耳元から離して
素早く赤い小さな円に指を着地させた
スマホ一面に「編集者」で
びっしり埋め尽くされた通話履歴を見て
不快な抵抗感を覚えた
電源を切ってスマホをベッドの枕の方に
放り投げ
その真似をして私も
ベッドに ぼふっ、と飛び込んだ
暗い白の光が差し込むひんやりした部屋で
私を慰めるような優しい雨音がきこえる
でも今寝てしまうと
2徹でパソコンと睨めっこしていた反動が
一気にのしかかって、死んだように眠ってしまう
実際こうして横たわっているのさえ
危険な行為なのに、
私は何をしているんだろう
馬鹿なのかもな、と自嘲する
気分転換と眠気覚ましを兼ねて
1日1回は散歩に行くのが、
私の日課になりつつある
特に雨の日は楽しくて、
傘を持たずに家を出てびしょびしょで
帰ってきてお風呂に入って風邪引いて、
のくだりをもう5回はやった
なんてことを思い出していると
ある疑問が浮かんだ
自らに愚問を呈しながら ガチャン と鍵を閉め、
透明な雨色の傘を開いて
街に繰り出した
𝘯𝘦𝘹𝘵











編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!