紅茶の香りが部屋いっぱいに広がる。
時刻は午後5時過ぎ。
夕日が窓から差し込んでいる。
あなたは事務室のソファに体を沈めて、一息ついた。
「あー…疲れた…」
「あなた、紅茶を淹れましたよ」
「…ども」
「なんかすごい疲れてますね?」
「…久しぶりに体動かしたから…筋肉痛が…ぐぎ」
「いつもダラダラしてるからですよ」
「…報告書…今日の分、やっとけよ」
「わかりましたぁ」
あなたは湯気をたてる紅茶を飲みながら呟いた。
「…もう寝ようかな」
「え?まだ5時ですけど…」
「よし、そうしよう。君、ミートパイ持って帰るかい?」
「いえ…大丈夫です…冷蔵庫に入れときますね」
「よろしく…特に用事がないならもう帰って良いぞ。報告書は君の家で書いておいてくれ…」
「冷蔵庫から野菜貰っていっても良いですか?」
好きにしろ、と呟いてあなたは目を閉じた。
足と腕が痛い。
やがて、部屋の明かりが消えた。
静まり返った部屋に寝息だけが残った。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!