ふと目を覚ますと、大粒の雨が雪崩れ落ちている
いつのまにか、大雨が降ってたらしい
俺は犬のように体を震わせ、滴る雫を落とした
もう、やるべきことは分かった
あとは行動するだけ
俺は立ち上がり、ある場所へ向かって歩み始めた
(ザーザー
雨のせいなのか、波が荒だってみえる
波が波打つ音が、ノイズ音に聞こえる
(ザーザザッバシャッザーーー
なんだか、波と会話したい気分だ
ま、そんなこともう叶わないのだが
今なら、俺の心も、体も、全て洗い流してくれそうだ
(ザブン
冷たい
まだ、そんな感情が残ってたことに驚きだ
俺は気にせず前へと進む
俺は仰向けになり、曇天を見上げた
このまま流されていけば、きっとシアワセになれる
なんか、人の声がしたような
嫌だな、幻聴まで聞こえるよ
俺は全てを消し、終わらせるために冷たい海へ潜った
(ガシッ
し、ねなかった
いやだ、死にたい、はず、なのに
この人の表情を見ると、生きてて良かったと
思ってしまうのは、なぜなのだろうか
俺は眠りにつくように、意識を手放した
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!