第7話

第五話 本番
300
2025/04/04 03:00 更新
練習会の一週間後、とうとう今日がイベント本番だ。
このイベントに参加するのは約20組のユニット。
僕達が応募したのは締切ギリギリだったため、必然的に順番は最後。
そのせいかとても緊張している。
だが、なぜだろう。緊張しているはずなのに、とてもわくわくしている僕がいる。
さあ!今日は全力で学んで全力で楽しむぞ!!
司くんは…うん、いつも通りだね。僕安心したよ。
彰人
司センパイ、近所迷惑って言葉知ってます?
彰人くんが呆れたように言う。近所迷惑なんて概念、司くんには無いと思うな。
冬弥
学ぶ姿勢があるのは良いことです
ド正論。流石だよ、冬弥くん!
ふふっ、そんなことを話しているうちに、もう始まるみたいだよ
ステージに立つ司会らしき人が話し始めたのを見て3人に言う。
楽しみだな!!
ああ。たくさん学ばせていただこうじゃないか
そんな会話をしながら司会の話を聞いた。
なんかそろそろ出番だからって、スタッフの人に控え室に連れて来られたあたりから司くんがやけに大人しいんだけど…
どうしたんだろう…
(あ、もしかして…)
司くん、緊張してる?
なっ…!き、緊張などしていない!この未来のスター、天馬司が!き、緊張などするわけがないだろう!
(おやおや…これは随分と…)
いつもは饒舌な司くんがここまで噛むとはね。よっぽど緊張しているようだ。
お前…疑っているな?!
そんなことないさ。心から信頼しているよ、未来のスター
それならいいが…
良かった。すっかりいつもの司くんだ。
彰人
2人とも準備しなくていいんすか?次っすよ?
先程から冬弥くんと一緒に最終確認をしていた彰人くんが僕達に向かって言った。
ああ、今行くよ
ほら、司くんも行こう?
ああ!
司くんの返事を確認して控え室を出た。
司会
──次が最後のユニットです!!
司会
最後にぶち上げてくれるのはこの方々!!
皆さん、初めまして。「FANTASISTA SQUAD」です
このようなイベントは初なので、技術力も表現力も至らないところはありますが、最後まで見ていっていただけたら嬉しいです
聞いてください、
みんな
威風堂々
みんなでそう言うと、曲がかかり始めた。
みんな
ーー、♪
曲の終盤、あと何フレーズかというところで僕は誰にもバレないようにポケットから小型スイッチを取り出した。
(3、2、1──)
(よし、今だ──!)
心の中で静かにカウントダウンをし、スイッチを押した。
すると、よく耳を澄ませていないと聞こえない程小さな爆発音が鳴った。
…まあ、ステージに立っていたら結構ハッキリ聞こえるけどね。
観客
ん?今なんか聞こえなかったか?
観客
気のせいじゃね?
観客
あ!見て!
観客
わぁ…!
観客
綺麗…!
(ふふっ♪上手くいったようだね)
今発射したのは細かい雪だ。
様々な角度から当たる様々な色のスポットライト。
これを利用することで、鮮やかな光の粒のように見せているのだ。
もちろんスタッフさんには許可を取ったし、なんなら、面白そうだと自ら照明係を引き受けてくれた人もいたくらいだ。
それに、この通り、観客の反応も上々。
後は最後まで、歌もダンスも全力でやり切るだけだ。
司会
「FANTASISTA SQUAD」の皆さん、ありがとうございました!
司会の人がそう言ったのを聞いて観客に少し会釈をしてステージを降りた。
司会
これより、事前にお渡ししたアンケート用紙を回収し、結果を集計するのでもう暫くお待ちください!
(ああ、そういえば一応、''バトル''という名義だったね)
そんなことを考えていると、いつの間にか僕の目の前に来て不満そうな顔をしていた司くんに、頬を抓られた。
ちょっ、つかさくん…!?いたいっ!
自業自得だろうが!!
打ち合わせもなく雪を発射したりなどして!!
ああ…そういえば言ってなかったな…((
だってぇ…先に知っていたらつまらないじゃないか…
いや驚いて一瞬歌詞が飛んだんだぞ?!
でもしっかり歌えていたじゃないか
それはそうだが…!
ふふ、2人はどうだった?
僕達のやり取りを見ていた彰人くんと冬弥くんに聞いてみる。
冬弥
俺は知ってましたよ。昨日からやたらとスタッフさんと話してるなと思い、聞いていたらその話をしていたので
彰人
オレは…まあ…知らなかったけど、類センパイならなんかしそうだなとは思ってました
流石彰人くん。よく分かってるね
彰人
司センパイが分かってないだけじゃないすか?
なっ!?オレは常に類の次の行動を予測して…
はいはい分かったから。結果が出るまで客席の方で待ってよう?
彰人
はーい
冬弥
そういえば類先輩、
客席で集計を待っている時、隣に立っている冬弥くんに名前を呼ばれた。
なんだい?
冬弥
先程の演出は、ステージ裏にスイッチでも置いていたんですか?
いいや、僕が持っていたよ
ほら、これ
冬弥
ああ、なるほど
何かあったかな?
冬弥
いえ。どのようなタイミングで行われていたのか気になっただけです
そっか
彰人
つーかセンパイ、雪なんてどっから持ってきたんすか?
彰人
今夏っすよ?
彰人くんが答えにたどり着こうと一生懸命頭をフル回転させる。
雪が発生するような気象条件を瓶の中で作ったんだ
彰人
え、天気作ったんすか?
まあ、簡単に言えばそういうことかな
雪が発生する天気を瓶に閉じ込めて、スイッチを押すと蓋が開いて、閉じ込められていた雪が発射する
降雪機の応用というところかな
彰人
あんた、その天才的な頭使うとこ色々違う気がしますけど
じゃあこの頭を使って彰人くんの勉強でも見てあげるよ
彰人
遠慮しときます
相変わらず勉強が嫌いなようだね。あ、だから冬弥くんに怒られるんだ((
お!結果が出たようだぞ!
冬弥
本当ですね
最下位から順に発表…なるほど、上位だけだと思っていたけれど、しっかり全部出すんだね
彰人
意外とオレ達みてぇな初心者もいたからな…どう差がつくか…
そんなドキドキの中、結果発表が始まった。
うん…なんというか…ね、
すごかったな!!
彰人
感想小学生かよ…
冬弥
自信があったとはいえ、かなり予想外な結果だったからな
そうだよねぇ…
まさか僕達が優勝だなんて
そう、僕達はなぜか優勝したのだ。
経験者も少なからずいたあのイベントで、初心者の僕達が。
驚いたけど、いい経験になった。
みんなも自分の実力に自信を持てるようになってきたし、他の人達のパフォーマンスから学べることもあった。
(僕達はまだまだ成長できる)
(そのためにはやっぱりもっと積極的に──)
おーい、類ー!帰らないのかー?
いつの間にか数歩先を歩いていた司くんに呼ばれた。
ああ、今行くよ
僕はそう返事をして3人を追いかけた。
このイベントが、今後の僕達に繋がる大きな第一歩となった。












第一章 序曲オーバーチュア【完】
𝙉𝙚𝙭𝙩  ⇝  「第二章 練習曲エチュード プロローグ」
























# 宣伝 ‎📢
新作です.ᐟ.ᐟ
白黒百合の彰類メインです.ᐟ.ᐟ
良ければ呼んでください.ᐟ.ᐟ

プリ小説オーディオドラマ