練習会の一週間後、とうとう今日がイベント本番だ。
このイベントに参加するのは約20組のユニット。
僕達が応募したのは締切ギリギリだったため、必然的に順番は最後。
そのせいかとても緊張している。
だが、なぜだろう。緊張しているはずなのに、とてもわくわくしている僕がいる。
司くんは…うん、いつも通りだね。僕安心したよ。
彰人くんが呆れたように言う。近所迷惑なんて概念、司くんには無いと思うな。
ド正論。流石だよ、冬弥くん!
ステージに立つ司会らしき人が話し始めたのを見て3人に言う。
そんな会話をしながら司会の話を聞いた。
なんかそろそろ出番だからって、スタッフの人に控え室に連れて来られたあたりから司くんがやけに大人しいんだけど…
どうしたんだろう…
いつもは饒舌な司くんがここまで噛むとはね。よっぽど緊張しているようだ。
良かった。すっかりいつもの司くんだ。
先程から冬弥くんと一緒に最終確認をしていた彰人くんが僕達に向かって言った。
司くんの返事を確認して控え室を出た。
みんなでそう言うと、曲がかかり始めた。
曲の終盤、あと何フレーズかというところで僕は誰にもバレないようにポケットから小型スイッチを取り出した。
心の中で静かにカウントダウンをし、スイッチを押した。
すると、よく耳を澄ませていないと聞こえない程小さな爆発音が鳴った。
…まあ、ステージに立っていたら結構ハッキリ聞こえるけどね。
今発射したのは細かい雪だ。
様々な角度から当たる様々な色のスポットライト。
これを利用することで、鮮やかな光の粒のように見せているのだ。
もちろんスタッフさんには許可を取ったし、なんなら、面白そうだと自ら照明係を引き受けてくれた人もいたくらいだ。
それに、この通り、観客の反応も上々。
後は最後まで、歌もダンスも全力でやり切るだけだ。
司会の人がそう言ったのを聞いて観客に少し会釈をしてステージを降りた。
そんなことを考えていると、いつの間にか僕の目の前に来て不満そうな顔をしていた司くんに、頬を抓られた。
ああ…そういえば言ってなかったな…((
僕達のやり取りを見ていた彰人くんと冬弥くんに聞いてみる。
客席で集計を待っている時、隣に立っている冬弥くんに名前を呼ばれた。
彰人くんが答えにたどり着こうと一生懸命頭をフル回転させる。
相変わらず勉強が嫌いなようだね。あ、だから冬弥くんに怒られるんだ((
そんなドキドキの中、結果発表が始まった。
そう、僕達はなぜか優勝したのだ。
経験者も少なからずいたあのイベントで、初心者の僕達が。
驚いたけど、いい経験になった。
みんなも自分の実力に自信を持てるようになってきたし、他の人達のパフォーマンスから学べることもあった。
いつの間にか数歩先を歩いていた司くんに呼ばれた。
僕はそう返事をして3人を追いかけた。
このイベントが、今後の僕達に繋がる大きな第一歩となった。
第一章 序曲【完】
𝙉𝙚𝙭𝙩 ⇝ 「第二章 練習曲 プロローグ」
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。