『ミュージックステーション』の豪華なセットの中、関西ジャニーズの魂とも言える『ズッコケ男道』の
イントロが鳴り響く。
2グループが入り乱れ、
カメラアピールを繰り返すお祭り騒ぎ。
そして、サビのラスト。
メンバー全員が一斉に豪快に床にズッコケる、
あの瞬間がやってきた。
床に転がる佐野。
次の瞬間、その視界が一気に遮られた。
佐野晶哉「わっ、大橋くん!?」
大橋が抜群の運動神経で、
倒れた佐野の真上に覆いかぶさってきたのだ。
佐野の顔のすぐ横に大橋の手が突かれる。
完全なる「床ドン」の体勢だった。
生放送のカメラが回る至近距離。
大橋はニヤニヤとした悪戯っぽい笑顔を
浮かべながらも、その瞳は本気で佐野の唇を奪いに
いく角度で迫ってくる。
佐野晶哉「もーー!何してんすか大橋くん!
やめてやー!」
佐野はいつもの「冗談で嫌がるリアクション」を
作り込み、笑いながら大橋の肩を押し返した。
カメラの向こうのファンには、微笑ましい
関西の先輩後輩のじゃれ合いにしか見えないはずだ。
そのすぐ近く。
床に転がっていた小島は、大橋のその大胆な行動を、視界の端で完全に捉えていた。
けれど、小島は表情一つ変えなかった。
気にも留めていない、
いつものお決まりのノリだと言わんばかりに、平然とした顔で前を向いたまま、その瞬間をやり過ごした。
小島健(生放送中に、晶哉に触んなや……)
表情とは裏腹に、小島の心の中は
嫉妬で激しく煮えくり返っていた。
付き合っていることを隠さなければいけない
プロとしての意地が、
小島に冷徹な仮面を被らせていた。












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。