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第1話

始まり。
682
2022/04/03 14:37
-あなたの名字あなたの下の名前視点-

桜が香る4月。
私は今日から通う高校の前に立っていた。
さすが私立高校。門が広い。

知ってる人が誰もいないところ。
友達なんていなくても1人でなんとなく過ごせるけど、
ぼっちで気まずくなるのは嫌だ。

なんて内心少し不安を覚えながら、
表情は涼しげに微笑を保ったまま姿勢を正して門をくぐる。
あなた
(何事も第一印象が大事だよね。清楚に。場に馴染むように。よし!)
今まで軽くいじめられたことはあった。
どうやら私は目立つようだ。

自分のことはあまり好きではないし、
自己肯定感も高くないけど、
客観的に見て、見た目はそこそこ良い方だと思う。
美人ってわけじゃないけど、決して人に不快感を与える見た目ではない。
そこは親に感謝だな。

割り切った(はっきりとした)性格をしているせいか、今までは男友達の方が多かった。
中には陽キャのイケメンから陰キャのオタクまで。
だからこそカースト上位の女子に目をつけられたんだ。

まぁ今日から通うのは女子校だから、男どうこうで女子に目をつけられることはないだろう。
あなた
クラス表...あ!あった。出席番号が...ってことは靴箱が...ここか。鍵ついてる!さすが私立...(ボソッ)
姿勢を崩さず淡々と靴を履き替え、教室に向かい、自分の席を確認して着席する。
無駄な動きはせず、ピアノの楽譜を開く。

しばらくするといきなり声をかけられた。
学校の友人
学校の友人
ねぇ!
あなた
ん?私?
学校の友人
学校の友人
そう!もしかして、音楽科の子!?
あなた
そうだけど?
学校の友人
学校の友人
やっぱり!楽譜開いてたからそうかなぁ!って思って!専攻は?
あなた
一応ピアノ...作曲したいんだ。
学校の友人
学校の友人
へぇーすごい!!
ピアノ...好きな曲とか得意な曲ある?
あなた
ショパンのEtude Op.10 No.12が好きかな...
学校の友人
学校の友人
12番?
あなた
あ、ごめん。革命のエチュードっていうタイトル聞いたことある?
学校の友人
学校の友人
聞いたことあるけど...メロディー浮かんでこない💦
曲とタイトル一致してないw
あなた
まぁ、そうだよねw
今度音楽室行く時、序盤数小節だけ弾こうか?
学校の友人
学校の友人
え!?いいの!
あなた
うん。
学校の友人
学校の友人
聞きたい!!
あなた
わかった!練習しとくね!
学校の友人
学校の友人
うん!ありがとう!
あなた
(この子話しやすい。すごいなぁ)
学校の友人
学校の友人
あ!先生来ちゃった!またお話ししようね!あなたの下の名前ちゃん!
あなた
う、うん!(名前呼び!?///)
(数週間後)

隣の席の彼女とはすっかり打ち解けて仲良くなっていた。
ついつい照れ隠しで素っ気なくしてしまう私の態度も、当たり前のように受け入れてくれる彼女に感謝していた。
学校の友人
学校の友人
ねぇねぇ、あなたの下の名前ちゃんって、趣味とかある?
あなた
趣味?特にないかな。
ピアノばっかだよ。
学校の友人
学校の友人
じゃあ、よく聞く曲とかは?
うちの学校、リクエストボックスにリクエスト入れておくとお昼休み結構何でも流してくれるよ!
あなた
へぇー、そうなんだ。よく聞く曲ってクラシックだからなぁ💦
学校の友人
学校の友人
クラシックかw
ちなみに、私はこの前 推しの歌ってみた リクエストしたんだ〜♡
あなた
推し? 歌ってみた?
学校の友人
学校の友人
あれ?推しの話してなかったっけ?
あなた
うん。聞いてないw
学校の友人
学校の友人
ありゃ?w
あなた
なにその声w ...で?教えてくれんの?
学校の友人
学校の友人
話していいの?
あなた
(ダメって言っても話したそうじゃん)いいよw
学校の友人
学校の友人
なんで笑ってるの!?
あなた
ダメって言っても話し出しそうな顔してるのに、「話していいの?」って聞いてくるのが可愛いなぁってw
学校の友人
学校の友人
あなたの下の名前ってそういうとこあるよね?
あなた
ん?何?
学校の友人
学校の友人
天然、人たらし(ぼそっ)
あなた
人たらしって何?
学校の友人
学校の友人
聞こえてたの!?
あなた
地獄耳なんでw
ってそれより推しの話は?するの?しないの?
学校の友人
学校の友人
する!!!!!
あなた
はい。どうぞw
そこから彼女は15分ほど、推しについて熱弁してくれた。

すとぷり(?)というグループに所属している
歌い手(?)のるぅとくん(?)という人だそうだ。

ネットに疎かった私は頭の中が?でいっぱいになりながらも、情報を整理しながら話を聞いていた。

覚えられる気がしなかったので、
お勧めの動画のリンクを送ってもらうことにした。
学校の友人
学校の友人
送っていいの!?
あなた
むしろ、お願いw
学校の友人
学校の友人
聞いてくれんの?
あなた
友達の好きな物はやっぱ気になるし...それに
学校の友人
学校の友人
それに?
あなた
音楽はどんなジャンルでもやっぱり気になる...
私もちょっとワクワクしていた。
なんでも、彼女の推しのるぅとくんは作曲も少し出来るそうだ。
学校の友人
学校の友人
さすが、音楽バカ!
あなた
ん?w貶してる?
学校の友人
学校の友人
褒めてる!
あなた
ほんとか?w
学校の友人
学校の友人
ほんと!
その後、私が
すとぷりに...
ネットに...
あの人に...
どんどんのめり込んでいくことを、
私も彼女もこの時は想像すらしていなかった。
この日を境に、私はTwitterを初め、
ツイキャスをインストールし、
すとぷりを見るようになった。

最初は誰推し!みたいなのは無くて、なんとなーく全員を見ている感じだった。

友達の推しがるぅとくんだから、
自然とるぅとくんところんくんをよく見ていた。
ただ、音楽が好きな私にとって、莉犬くんの歌声は印象深くて、暇さえあれば聞いていた。

あとは...
あなた
しゆんくん...声好きだなぁ。




これが私の...いや、
私たちの全ての"始まり"だった。

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