第15話

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2026/03/31 18:56 更新
あなた
ねぇ、それ取って
佐伯
どれ
あなた
テーブルの上にあるやつ
佐伯
どれよ
あなた
…やっぱ自分で取る、
寝起きのイッテツに頼んだのが間違いだったか、と思いながら、私は手を伸ばす。
佐伯
あー!!これね!!分かった!!
私が手を伸ばす隣で、イッテツも同時に手を伸ばしたのが、視界の端に映った。
軽く、指が触れる。
一瞬の出来事だった。
あなた
…ごめん、
佐伯
………
私が謝ると、そのまま沈黙が流れる。
何か気に食わないのかな、と私が顔を覗き込むと、

イッテツがその手を、そのまま握った。
あなた
え、
思考が止まる。なぜ、どうして、と必死に考えるが、よぎるのは今までウェンやマナ、リトから聞いてきたイッテツと私の話ばかりで、余計混乱してしまう。
握られている。
普通に、自然に。
力は強くないが、離れる気はなさそうだった。

当の本人は、よく見る宇宙の猫のように動かず、ただただ虚空を見ている。何がしたいのか。

さっきまで寝起きだったせいか、ぼーっとしてしまうのかもしれない。
完全に無意識、という事が今証明されてしまった。
あなた
……ちょっと、
佐伯
…ん、あぁ、ごめん、何?
あなた
手…
佐伯
手?
そう言うと、イッテツは自分の手を見た。
私の手が握られているその手を見て、イッテツは一瞬でフリーズした。
明らかに理解が遅れている顔をしながら、慌てて手を離す。でも、少し名残惜しそうだった。
あなた
…なんで、
佐伯
いやぁ、俺もよく分かんないというか…
あなた
…寝ぼけてた?
佐伯
………はい、
イッテツは俯きしばらく唸ると、また顔を上げた。
少し赤くなっている。
佐伯
俺が怖い
あなた
無意識?
佐伯
うん…
佐伯
なんか、ほら、あったかいものとかが近くにあるとさ、握りたくならない??

理由になっていない気がする。
少し意地悪をする事にした。
あなた
へぇ、じゃあ近くに手があったら誰の手でも握るの?
佐伯
いや、それは違うんだけど…誰の手でも良いわけじゃ無くて…あ゛ーもう!!

もう一回寝る!!!と慌てて逃げていく彼の背中を見て、私は思わず笑ってしまった。

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