第5話

第一章 「麗姫の過去▷前編◁」
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2024/04/21 08:00
(なまえ)
あなた
………
あなたの下の名前の生まれは遊郭の近くにある
とても貧しい町でした。
あなたの下の名前の母は病に身体をむしばまれながらも、
あなたの下の名前を産んだことであなたの下の名前が産まれてすぐに
亡くなりました。
(なまえ)
あなた
おとーさん……
チッ……なんだ…
(なまえ)
あなた
今日もあそこにいくの?
……そうだ
(なまえ)
あなた
ご飯は……?
ない
(なまえ)
あなた
ッッ!
お前が麗子を殺したのだろう
その罪だ
(なまえ)
あなた
私はッッ殺してなんかッッ!!
黙れッ!!
麗子がお前を産んだからッッ!!
麗子は死んだんだッッ!!ボコッ
(なまえ)
あなた
い゙ッッ!!!
あなたの下の名前の父は母が亡くなったことを忘れたい一方で
遊郭に溺れ、あなたの下の名前のことは厄病やくびょう扱いをして、殴るのが日常でした。
……なんの約にも立たないお前なんか
生きても意味がない
(なまえ)
あなた
〜〜〜ッッ(泣)
ガラガラ
(なまえ)
あなた
私はッッ生きてッても意味がッッ……ないのッッ?
(なまえ)
あなた
なにもッッできないの……?
(なまえ)
あなた
役にッッ!立てない……ッのッッ?
そんな毎日を17年過ごしました
父からの虐待は年々激しくなり、時には包丁で腕を刺されたり、首を絞められたり、石や太い木の棒で殴られることが大半を占めるようになりました
(なまえ)
あなた
………これが私にできる1番の罪償い
(なまえ)
あなた
お父さんに殴られたりすることが私の運命
(なまえ)
あなた
お母さんへのお礼
(なまえ)
あなた
私がこの世に産まれて死ぬまでの呪縛
(なまえ)
あなた
あと少し……耐えれば
(なまえ)
あなた
私は地獄に行って罪を償える
(なまえ)
あなた
お母さんにもお父さんにも認められる
いつしか……あなたの下の名前は
     「これが私なりの罪の償い方」
       として殴られることへの苦しみを
                感じなくなりました
その時
あなたの下の名前
(なまえ)
あなた
……なにかありましたか?
少しこちらへ来い
(なまえ)
あなた
……はい
(なまえ)
あなた
(今日も殴られるのか)
女衒(ぜげん)
この女でよろしいでしょうか?
コク
女衒(ぜげん)
少し見させていただきますね
あぁ
(なまえ)
あなた
???
(なまえ)
あなた
(なんだこの人)
あなたの下の名前の家に女衒が来ました
女衒(ぜげん)
ふむ……なかなか良い顔をしておる…
女衒(ぜげん)
これは売れる……!!
(なまえ)
あなた
?!(売れるッッ?!)
いったいいくらで売れるのだ?
女衒(ぜげん)
これは……この額でどうでしょうか
……!!
この話……乗った!
連れてけ
女衒(ぜげん)
ありがとうございます!
あなたの下の名前
(なまえ)
あなた
はい
やっと役に立てるなニヤ
(なまえ)
あなた
ッッッ!!ゾクゾク
その笑みをあなたの下の名前は一生忘れることはないでしょう
なぜなら、父があなたの下の名前に対して笑ってくれた最初で最後の機会だったから
その笑みは、恐ろしくも、とても喜ばしい笑みでした
(なまえ)
あなた
………いって……まいります
あぁ……
もうここに顔を見せるな
(なまえ)
あなた
はい
そして、あなたの下の名前は遊女の六麗館で遊女としての礼儀や作法を学び、遊女になり、今に至ります
(なまえ)
あなた
あと…何年間この世界で生きられるの…?
次のお話 「麗姫の過去▷後編◁」
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