私は、考えを言葉にするのが苦手だ。
代わりに、
観察する。 読み取る。 つなぎ合わせる。
”ゲームみたいに”
まず一つ。
司はいつも話す時よく目が泳ぐ。
無意識に類を探しているんだろう。
二つ。
司はスマホを持つ時指が震えている。
薬の影響だろう。
三つ。
えむは気づかない。でも、私にはわかる
司はたまに鈍くなること。
司の瞼が急に落ちる間隔、
呼吸が浅くなるタイミング。
ゲームで言えば、
《 状態異常:鈍化 》。
あれは……
“自然”じゃない。
四つ。
えむの反応速度が落ちている。
えむの名前を呼ぶとすぐにえむは笑顔になる。
でもえむは、最近その速度が落ちている。
類に何かされた?司の異変に気づいた?
どちらにしろ、原因は類だ。
ゲームにおいて、
仲間を蝕む“原因”がひとつなら_____
対処法はひとつ。
【 原因を消す 】。
これは残酷でも暴力でもない。
ただのシステム処理。
“異常値”を消すだけ。
そう思うことで、自分を落ち着ける。
相手が誰だろうと関係ない。
たとえ、
それが司が大切に思う相手でも。
その決意の裏に潜む感情_____
それは“恋”でも”友情”でもない。
もっと静かで、もっと狂った、
壊れる前に壊すための優しさだ。













編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。