俺はななもり。
今は中学2年生だけど、当時は一年生だった。
野球部で県一位を獲得した。
変化球やスピードのある俺の投球が
評価されて、レギュラーになった。
結構野球の強い学校で、一年生が選抜に
なるには、相当上手くないといけない。
三年の人にはベンチの人もいて、。
そもそも、ベンチに入らない人もいて、
でも、俺の方が強かったから。
完全実力派のこの学校では俺が上だった。
結局、100球投げた。
練習の後の100球だったし、きつかった。
全国当日。
勇はもう1人の一年レギュラーメンバー。
勇はキャッチャーで、俺のボールを開けてくれる。
多少の痛みはあったけど、気にせず投げた。
試合開始。
20球投げたぐらいから痛みが半端じゃ無かった。
投げて、投げて、投げまくった。
痛かった。
やめたかった。
投げたくなかった。
でも、無理矢理にも動かして、投げ続けた。
試合は勝利。
それからも何度も試合をした。
投げまくって、勝った。
『無敵のセブン』なんて、ダサい異名もついた。
全国決勝。
これに勝てば全国優勝。
勝つしかなかった。
勝つ以外の選択肢なんて無かった。
休むなんて、選択肢無かった。
投げて、投げて、投げて…
痛みは強くなっていくばかり。
でも、仕方ない。
試合はここからだ。
【四番 あいう せいあ くん。】
勇からスライダーの指示が出た。
今、二塁と三塁に人がいる。
ツーアウト。
ここで、やる。
未だ0-0。
勝つためには、ここでの失点は許されない。
めいいっぱい投げた。
そして、打たれた。
バットで跳ね返されたボールは俺の肩を
目掛けて飛んできた。
俺は俺を庇いきれずに、そのまま。
痛くて、立っていられなかった。
診断は複雑骨折。
プラスして、もう壊れかけだったらしい。
もう、前の様に投げれない。
なんて、 w
それどころか、肩を使った過度な運動は
できない。
もう、野球なんて、できない。
頑張ったんだ。
なのに、2位だった。
先輩にも申し訳なくて。
野球が2度とできないのが、悔しくて。
野球なんて…
ー!
〔手元にあったハサミが飛ぶ〕
ジェルくんは、俺が投げたハサミが刺さっていて。
スーパーから帰って来たみんなが、
ジェルくんにかけよる。
あぁ、
なんてこと、してしまったのだろう。
るぅとくんの言う事は正しい。
俺がした事は許されなくて。
償えなくて。
あぁ、ごめんなさい。
ごめんなさい。ごめんなさい。
俺は、決意した。
こんな俺は必要ないから。
みんなといたら、迷惑だから…。
こんなことしたんだ。
生きたくない。
せめて、これぐらいは…。
償わなきゃね。
たとえ、償いきれなくても。
自室に戻った。
さぁ、首吊りしよう。
ロープ用意して。
椅子用意して。
よし、死のう。
あ、手紙書こう。
ジェルくんへ。
ジェルくん、本当にごめんなさい。
許されないことをしました。
ジェルくんが差し伸べてくれた手を、心を
振り払ってしまいました。
手を差し伸べてくれたこと、
心から、本当に嬉しかったです、ありがとう。
俺が犯してしまったこと、償いきれないけど、
せめて、これぐらいはさせてください。
泣き疲れて、クラクラする。
眠たい…。
ころんが、俺の袖を強く引く。
でも、鍛え抜かれた俺のフィジカルには
勝てなくて。
あぁ、こんなにも小さくて無力なのに、
俺を助けようとしてくれるんだな。
涙が溢れて来て。
泣いて。泣いて。泣いた。
笑う暇なんて、無くて。
そんな余裕なんて、無くて。
俺はいつの間にか、眠りについていた。
目を覚ますと、布団で寝ていた。
掛け布団がかけられていて…。
一階に降りると、みんなダイニングテーブルに
座っていた。
手を取られ、先に着く。
パチッ
〔照明が消される〕
え?
え?どうゆう、こと…?
涙が、止まらないな…。
あんなに泣いたのに。
人間って、恐ろしいな…。
敵わないわ w
ころちゃんが、止めて来た時、振り払うことが
俺には出来た。
無理矢理にも、死ぬことができた。
でも、俺はそうしなかった。
俺はあの時、生きたかったんだ。
だから、振り払わなかった。




















編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!