呪神たちを見送った後、俺はそう一人気に反省をした。
まさか笑い転げただけで、仮面が外れるとは……
この社会に入って一番のピンチだったかも……
ま、でもあの三人を一応脅しておいたから、口外はしないと思うが……
さすがに警戒心を解き過ぎたか。これからはもとに戻そう。
無意識に外れてしまっていた警戒心を取り戻そうと、自分に言い聞かせる。
俺は鏡に映った自分の顔を見てそう呟いた。
片方の目に残っている古傷。
あの日負った傷がここまで残るとは……
この傷のせいで、今も俺の片目は機能していない。
前線に張って戦うことが出来なくなった俺は、今の職業に就いた。
……
今までは、素顔を見たやつらは殺していったのに、
俺はなぜか今回脅しだけで、見逃した。
自分が気づかないうちに変わってしまっているのだろうか。
変わるのは怖い。
でも、変わりたい。
でも、変わりたくない。
俺の思考がぐちゃぐちゃと渦巻いていく。
自分の気持ちをリセットするためにも。
俺は今日、早めに看板を裏返した。
次の日になって、俺はカーテンの隙間からこぼれる陽の光で起きた。
仮面をつける時に見る必要がある鏡からは、目を逸らしたい。
でも、片目が使えない今、どうしてもそうするしかない。
俺の朝は、醜いモノをみないといけない。
それから、今日は定休日のため、情報を集めに行く準備をする。
ここだな。
最近西の方で騒ぎが結構起こっているため、それの情報収集をしに行く。
店の裏口から出て、俺は現場へと向かった。
着いた場所は美術館。
ここは、数々の名画や宝石が展示されている、ラグジュアリーな美術館。
この美術館自体にも相当な価値があるとか……
その美術館で最近、宝石が次々に盗まれていくらしい。
警備も厳重な中、気づけば無くなっている。
何も証拠は残ってないらしいし……相当な手練れだろう。
俺の下でちょうど話している警備員たちの話を盗み聞きさせてもらった。
なるほどね。
俺は下に飛び降りた。
俺はそう言い、二人の警備員を気絶させた。
それから、警備部隊の制服を借り、二人の警備員は探せば見つかるようなところにひとまず置いておいた。
いつか誰かが見つけるだろ。
俺は小走りで警備員が集まってそうなところに移動した。
ホールに着くと、上官らしい人が大声を張り上げ、険しい顔で立っていた。
俺はばれないようにこっそりと警備部隊の列に入り、今日盗まれるであろう宝石に目を向ける。
現在時刻は、午前二時ニ十分。
もうすぐって言っていたし、あと一、二分で来るんじゃないか?
その時、突然電気が消えた。
俺はこんな状況に慣れているが、周りの警備員たちはパニック状態。
そんなんで警備員が務まるのかよ……
と内心呆れながら、次の行動を待つ。
その時、上から声が聞こえてきた。
警備部隊の上官のその叫びを合図にまた明かりがつくと、
大きなシャンデリアに逆さまにぶら下がりながら、片手には宝石を持っている例の怪盗がいた。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!