第12話

9章
141
2025/09/24 04:54 更新
本番の3時間前
会場の証明はリハーサルを
移していたけど、こさめの表情はどこか空っぽだった
恋鮫
こさめ…ッ、今日は絶対に……
ちゃんとしなきゃ……、
那津美
ラスト、生放送も入るけど……
大丈夫?
あたしはこさめの手を取って尋ねた
それはいつも通りの確認のはずだった
だけど、こさめは俯いたままだった
恋鮫
……ごめんッ……わかんない、
それを聞いた瞬間、
あたしの中の何かが引き裂かれるような感じがした
那津美
こさめ……何度も、言ってるよね?
ステージに経つ前にッ……
ちゃんと出してって…
その声にはほんの1滴だけ怒りが混じっていた
恋鮫
なつみちゃッ……怒ってる?
那津美
怒ってない……
でも、焦ってるの。
那津美
こさめが何も出さないまま立ったら
また倒れる……もうそんなの見たくない
恋鮫
でも今日はッ……怖くて、
出したら……もう、なつみちゃんに
愛されない気がして、
那津美
……
その一言があたしの心を完全に崩した
那津美
何言ってんの?
那津美
そんなのッ……あたしだって……っ、!
吐かせることしか出来ないのに!!
声が響いた
こさめが震えた
でもそれは、怒りでも恐怖でもなく……
あたしを初めて拒絶する震えだった
恋鮫
……だったらさ、
こさめが吐けなくなったら…
なつみちゃんはどうするの?
答えられなかった
喉が詰まって痛かった
那津美
入間
準備、整えてください
あと、20分ですよ
那津美
入間……
入間はあたし達のマネージャー
彼女は無言のままあたし達を見て
そのあとそれだけ言って出ていった
だけど、あの無機質な瞳の奥にあったのは
…… 何かを見抜いた視線
こさめはまだ、何を吐けないまま衣装に袖を通す
恋鮫
……なつみちゃん。
こさめ、今日ちゃんと歌えるかな?
その声は震えていた
でも、目だけは真っ直ぐにあたしを見ていた
あたしは1度だけ深く息を吸って
そして静かにこさめの唇にキスをした
そして、あたしはマイクを強く握りしめた
いやー……どうなるんだ、
一応もう結末は考えているんだけど
みんなに刺さるといいな、

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