……もう…いいかもしれない。
もう、終わりでいいかもしれない。
少ない物語だったね。
少しだけ。期待してたのにな。
『ねぇ。もう起きようよ。私、待ちくたびれたよ?』
「ん……んぅ……」
『おはよう。』
「あ。おはよう。
……僕、寝てた?」
『うん。寝てたよ。』
「あ。そう。ごめんね。」
『ううん。全然大丈夫だよ。』
「そっか。良かった。」
『ねぇ。もう、いいかな?』
「……別に、僕はどうでもいいよ。"君"の好きにすれば」
『…うん。ありがとう。"貴方"が私の話を聞いてくれて嬉しかった。』
「うん。良かった。」
元々、双子なんていなかった。
双子で生まれてなんてなかった。
一人っ子だった。
女だった。
でも、男っぽいような自分も好きになった。
そして思った。
女でも男でもあるような無いような。
そんな人になってみたい。って。
だから、私は。
僕は、一人称から性格まで、中身を変えた。
女の部分もあって、男の部分もある。
別に、僕が好きなように変えて、困る人はいない。
自分も困ってない。
女の私も好きだ。
でも、少しでも男になりきってみようもする僕も好きだ。
自分のことを好きになるのは難しいけど、なんだかんだ頑張っているような私は僕は好きなような気がしてるんだ。
女の"私"と、男の"僕"は、ある日を境に会えなくなった。
別に喧嘩も何もしていない。
女でも男でもあるような、ないような新しい"自分"が出来たから、もう会う必要は無いと。
だから、会えなくなっただけ。
そりゃ、苦しくも辛くもないだろう。
でも、考えてしまうところは変わってない。
目に見えるものから見えないものまで。
手に届くものから届かないものまで考えてしまう。
でも、ひとりじゃダメだった。
だからこそ、"君"が、"貴方"が居てくれることが助けだった。
分かってた。
分かってた。けど……
無理だったんだからしょうがないだろう。
第二章。
『"貴方"を起こして。』END
第三章。
『"生"の不思議。"死"の不思議。』












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!