2月14日、出勤した田村を出迎えたのは、親友の須貝。
毎年恒例になってきた「6人揃うまでアルフォ〇トを開けない」という須貝の信念に、田村はやや呆れ顔になりつつも付き合ってやる。
しばらく他愛のない話をしていると、河村がやってきた。
2人の視線に何かを察したのか、河村がおどけた顔をしてみせる。
年上組特有の落ち着きとはっちゃけ感を出していたところに、今度は伊沢が出勤してくる。
伊沢を一目見た瞬間、田村は口を閉ざし、パソコンに目を向けてしまう。
伊沢は持っていた紙袋からチョコを取り出し、須貝、河村と順に渡してから席についた。
昼休み
給湯室でコーヒーを入れていた田村のもとに、伊沢がやってくる。
伊沢は特に何をするでもないようで、物音はしない。
田村は、背後に伊沢の気配を感じながらもしばらく黙っていたが、やがて彼の方からその沈黙を破った。
その言葉に、伊沢の目が少し見開かれる。
それから多少の葛藤をしたような間があってから、声がした。
伊沢に着いていく形で、田村は撮影部屋に向かう。
そこで初めて、田村は伊沢の手に朝の紙袋が握られていることに気づいた。
部屋に着いてから、ようやく伊沢は振り返った。
田村に向き直り、紙袋から物を取り出す。
それはG〇DIVAのような暗い茶色の包み紙で包装されていた。
田村はキョトンとしていた。
なぜわざわざ人目につかない場所で渡す必要があるのか、とでも言いたげな顔。
放課後、夕暮れの教室。
自習をしていた俺に、後ろから乗りかかってきた先輩。
俺はそのあと、モテモテのその先輩に襲われた。
先輩にとって、それはほんのイタズラ心だったのだろう。
それでも、あの日俺は先輩に心奪われてしまったんだ。
俺が中二のときのバレンタイン。
俺は部活仲間とワイワイしていた先輩に話しかけ、手作りのチョコを渡した。
……G〇DIVAのような、暗い茶色の包装紙で包んで。
それから先輩は「もしかして俺が最後?」と聞いてきた。
俺が少し躊躇ってから頷くと、先輩は「ふーん」と返す。
田村は包装紙を開けて中身を見、微笑んだ。
伊沢の、微かな焦りを隠すような言葉に田村が笑う。
田村はそう言って、伊沢に背を向けた。
そして部屋のドアノブに手をかけたところで歩みを止め、肩越しに語りかける。
大っっっっ変お待たせいたしました!
バレンタインシリーズ第2弾です!
リクエストありがとうございます🙇♀️
毎度のことなんですが、私、この2人は両想いなのかそうでないのかが曖昧な状態が1番好きでして……
いつもこういう書き方になってしまいます笑
何やら心の中で会話できる超能力者たちがいましたね
さて、伊沢少年が少し返事に戸惑ったのには理由がありまして。
【ヒント】
……そもそも、伊沢少年は果たして何人にバレンタインを渡していたんでしょうね?












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!