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第5話

高級マンションの下で
1,617
2022/10/07 08:00



ウパパロン
ウパパロン
ねー、イエモン!
iemon
iemon
なにー?


翌朝、俺は未だに整理できてない頭で学校へ行った。


ウパパロン
ウパパロン
めめたんの家凸しよ。
iemon
iemon
あー、うん……
iemon
iemon
はっ!?!?
ウパパロン
ウパパロン
だから家凸。
ウパパロン
ウパパロン
一部のファンが特定したんだって。
iemon
iemon
えぇ、俺はしたくな……
ウパパロン
ウパパロン
一緒にしよう!
iemon
iemon
は!?無理無理。


俺はもう現実のめめたんとは会わないって決めたのに…!


iemon
iemon
もし会っちゃったらどうするの?
ウパパロン
ウパパロン
大丈夫。どうせ誤情報。デマだよ。
iemon
iemon
えー……
ウパパロン
ウパパロン
ほらこの前の貸しを返すとでも思って、頼む!
iemon
iemon
……しょうがないなぁ。


結局帰り道に、めめたんの住所らしき場所で待ち伏せをすることになった。


俺はあまり乗り気じゃなかった。


しかし少しだけ興味を持ってしまったのが本音。


放課後が待ち遠しく感じた。







_______________________




放課後になって、いつもとは真反対の方向へ向かうウパパロンに連いて行った。

iemon
iemon
ねー、ここで本当に合ってるの?
ウパパロン
ウパパロン
もちろん。Googleマップを信用するならば。
iemon
iemon
ここめちゃくちゃ高級マンションじゃん。
iemon
iemon
確かにめめたんぐらい有名だとこのマンションに住めだろうけど……


目の前に広がるのは、明らかに金持ちしか住んでいなさそうな高級マンション。


警備も厳重で、入り口には警官が数人立っている。


ウパパロン
ウパパロン
これ絶対に入れないよね……
iemon
iemon
もう帰ろ。絶対入れないって。
ウパパロン
ウパパロン
えー、でもぉ……
iemon
iemon
ほらほら警備員にめちゃくちゃ不審な目で見られてるって。
ウパパロン
ウパパロン
もう……!


駄々をこねるウパパロンを無理矢理連れて帰ろうとしている俺に、一つの影が近寄って来た。













めめんともり
めめんともり
そこで一体何をしているのかしら?
iemon
iemon
!?
ウパパロン
ウパパロン
えっ!?
iemon
iemon
(めめたん!?なんでここに!?)
めめんともり
めめんともり
こんなとこで騒がれると迷惑なのよ。
ウパパロン
ウパパロン
えっ、め、めめたん……?
ウパパロン
ウパパロン
本物……?


ウパパロンはもちろん開いた口が塞がらない。


だってテレビの中にいた憧れの人が目の前に現れたのだから。


めめんともり
めめんともり
………
iemon
iemon
(こ、これ結構やばくないか?)


めめたんがここに居るってことは、ここに住んでいるのかもしれない。


俺と一度会っているめめたんには、俺が自分のファンであることは分かっているはず。


つまり、


iemon
iemon
(俺らストーカーみたいになってるじゃん!?)
ウパパロン
ウパパロン
めめ、たん、ですよね……?
ウパパロン
ウパパロン
本物ですか!?
ウパパロン
ウパパロン
やっ、やばいっ、どうしよっ!
めめんともり
めめんともり
………!


ウパパロンは完全に興奮状態で、スマホを取り出して何かをしようとした。


まさか拡散でもするつもりなのか?


iemon
iemon
ウパパロン。


俺はスマホを取り上げた。


iemon
iemon
……こーんな、冷たい人がめめたんな訳ないだろ?
iemon
iemon
きっと他人の空似ってやつだ。だから帰ろう。
めめんともり
めめんともり
………ッ、
ウパパロン
ウパパロン
そ、そうなの、かな?
iemon
iemon
うん、だから帰ろう。






別にウパパロンからめめたんを遠ざけたかったのではなくて、


ただ単純に申し訳なく思った。






プライベートまでファンが押し掛けて、ついには住所まで特定するファンまでいて。


だから今すぐに帰って、これ以上迷惑を掛けたくなかった。


ウパパロン
ウパパロン
わかった。帰ろう……
ウパパロン
ウパパロン
あの、変なこと言ったすみません。
めめんともり
めめんともり
……そう。
iemon
iemon
では、さようなら。



俺はめめたんとは目を合わせずに、背を向けて帰った。


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