前の話
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物心ついた時から、俺は母親のことが嫌いだった。
だって...母さんはギャンブルにどっぷり浸かってて、父さんに金をせびっては断られ、いつもいつもイライラしていたから。
ある日、あんなに優しかった父さんが、手を上げることなんてなかった父さんが...母さんの頬を思い切り叩いた。
母さんは困惑していた。俺だって困惑した。
だって、あんなに優しい父さんが...手を出すなんて。
そう言って父さんは家を出ていった。
俺はその場に立ちつくすことしか出来なかった。
ある日目を覚ますと、父さんの荷物がごっそりと無くなっていた。
一緒に遊んでいた父さんの部屋が、異様なほど綺麗で。
まだ俺は中学一年生だった。
頭の中が真っ白になる。
涼乃は俺の幼なじみだ...真面目で正義感の強い、3歳からの幼なじみ。
いつも俺の事気にかけてくれて...最近だって、遊んでたのに。
涼乃のお母さんと俺のお父さんが...不倫?
否定して欲しかった。俺は現実を受け止められなかった。
だけど...俺の望む答えは返ってこなかった。
その日から母さんは酒にも入り浸り、俺一人ではどうしようもないほど狂っていってしまった。
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あれから数年後。俺はグレにグレていた。
まぁ...父親は不倫、母親はアル中ギャンブル狂...こうなるのは必然だったと思う。
俺はふと、ある人物を思い出す。
最近会ってない...アイツ、どこにいんだろ...
俺は特にアテがあった訳ではないが、涼乃を探しに街を歩いた。
まぁ、会えるなんて思わないけど...
こんなあっさり会えるもんなの??
これは...俺がものすごい強運の持ち主なのか、俺が凄まじい動体視力を持ってるのか、俺g
ごめん黙る(
俺は遠くにいる涼乃に近づき、肩をトントンと叩いた。
驚いてる驚いてる。
俺も驚いた(
すると涼乃は急に挙動不審になりこう言う。
なんでもない奴の顔してないけど...。
何かあるな...?
俺は涼乃の言葉を遮って言った。
涼乃が心配で仕方がない。
昔からこう隠す性格だったっけか...?
俺は思わず涼乃の腕をガシッと掴んだ。
すると次の瞬間、涼乃の顔色が変わる。
そう言って涼乃は思い切り腕を振り払った。
嫌...?嫌って...
この反応...明らかに...
涼乃は悩んでいる様子だった。
そしてしばらくの沈黙の後、涼乃は口を開く。
そうして涼乃は話し始めた。
そんなことが...
涼乃もこんな苦しい思いしてたんだ。
辛かっただろうに...
...涼乃...
俺は涼乃と目を合わせる。
あはっ、と笑いながら言う。
そう言うと涼乃は驚き、
と言った。
いいリアクション...楽しい...((
遮ってリアクションをしてきた。
楽しい...(黙れ)
俺はもう一度涼乃の腕を掴む。
俺は涼乃を引っ張り一緒に走った。
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。