第21話

王道虐められ展開!?(久々知兵助)
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2025/12/26 09:49 更新





学年一の名家の令嬢・華園澄華。


その取り巻きに左右を固められながら、あなたの下の名前は人気のない廊下の奥へ連れ込まれていった。



足音が石床に吸い込まれ、微妙な冷気が肌に触れる。




















‌ ‌ ‌ ‌ ‌ ‌ ‌ ‌ ‌
……ここなら誰も来ないわね





澄華は振り返り、形のいい顎を少し上げて微笑んだ。
 




美しい、そして残酷な笑顔。



あなた
(……まあ、私の方が可愛いけどね!)











‌ ‌ ‌ ‌ ‌ ‌ ‌ ‌ ‌
鉢屋さまたちは高貴なお方なの。
‌ ‌ ‌ ‌ ‌ ‌ ‌ ‌ ‌
あなたみたいな庶民が、
一緒にいていい相手じゃないのよ。







濁りのない声だった




‌ ‌ ‌ ‌ ‌ ‌ ‌ ‌ ‌
これは忠告よ。
‌ ‌ ‌ ‌ ‌ ‌ ‌ ‌ ‌
この学校に通いたいなら___





















‌ ‌ ‌ ‌ ‌ ‌ ‌ ‌ ‌
__関わらない方が“身のため”かもね?





最後だけ、にっこりと意地の悪い笑みをのせて。









けれど、あなたの下の名前は眉をひそめるどころか、内心では少し感動していた。




あなた
(……うわ。出た、夢小説で見る“階級差ヒロインいじめ展開”……!しかも、この子……普通の子と違って、財力がえげつないから真正面から言っちゃうタイプだ…)




心のなかで拍手すら送りそうな勢いで、
彼女は意外なほどダメージを受けていなかった。














 その日の出来事は、それで終わった。










⟡.· ⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯ ⟡.·







翌朝、靴箱を開けた瞬間、そこに上履きがないことに
気づいた。







あなたの下の名前は一瞬きょとんとしたが







___次の瞬間、楽しげに微笑んだ。






あなた
…あ、忘れちゃったかも。えへへ









周囲の女子たちがヒソヒソ笑う声が聞こえる。








しかしあなたの下の名前の心は、ほとんど揺れなかった。






あなた
(これもテンプレ……やばい、本物だ…!    わたし、実体験してる……!)




楽しんでる場合ではないのだが、彼女は本気でワクワクしていた。




なぜなら、何万回と読んだ夢小説から、こういうのは、
明るく振舞っていた方が、良い方へと転がったのと、
ただ、ヒロインっぽくてテンションが上がってるので
ある。





とはいえ、友人関係は崩さなかった。




休み時間には勘右衛門や兵助と笑って話し、




三郎と八左ヱ門とは相変わらず距離がじわじわ
縮まっていく。






嫌がらせは次第にエスカレートした。





 教科書の間に押し込まれるメモ、

 机の中に捻り込まれたゴミ、

 放課後に呼び出されての暴言、

髪を引っ張られる嫌がらせ。







髪を掴まれたときも、あなたの下の名前は心の中で思っていた。





あなた
(あ〜〜、これ、夢小説の悪役令嬢がやるやつだ〜〜……やば、ほんとに痛い……けど……すご……!)





楽しんでいる半面、(※Mじゃないです)
 





胸の奥でふつふつと湧き上がる“負けたくない”気持ちが、日に日に強くなっていった。



あなた
(絶対、距離感なんて変えないからね。
むしろ、もっと仲良くなるんだから)




そう思えば思うほど、"ヒロイン"に近づいた気がした










⟡.· ⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯ ⟡.·



その日、クラスメイトの殆どは帰り、教室には夕陽が差し込んでいた。






あなたの下の名前は机に座り、破れたノートを広げる。





ページの隅は引き裂かれ、落書きがえぐられている。








それを見ても、悲しみよりも先に出たのは
























___大きなあくびだった。













あなた
……また買い換えないとじゃん






ぽつりと呟き、ぐいっと体を伸ばす。







あなた
……そろそろ飽きないかなぁ












その瞬間。

























___ガタン。

















教室の入り口の方で、椅子がわずかに揺れる音があった













あなたの下の名前はビクッとして振り返る。
















目を丸くして、こちらを見ている兵助と目が合った





あなた
(兵助……!?)



しかし、次の瞬間兵助は慌てて走り出してしまった



反射的に追いかけようと、廊下へ飛び出す。



あなた
久々知くん!まって!!





そう叫ぶと兵助は足を止めて、驚いた表情で
こちらを振り返った。




あなたの下の名前は息を弾ませながら近づいた











あなた
さっき…見たこと、誰にも言わないで…?



入学式の時に鉢屋三郎へしかけた時と同じ、
"秘密の共有"で距離を縮めようとした。






まあ、この間三郎にバレてしまって、通用するか
見ておきたかったのだ。








___というのは建前で、ほんとは大きなあくびを
見られたのが恥ずかしいのである。




















けれど___
 













その顔を見た久々知兵助は、一瞬だけ顔を歪ませた。







久々知兵助
……あなたの下の名前さん










落ち着いた声だったが、その裏に隠された感情は重い。













その瞬間、あなたの下の名前はまたあくびが込み上げ、











慌てて俯いて、必死に隠しながらこっそり欠伸をした。













彼は、その小さな震えまで見逃さなかった。




久々知兵助
大丈夫……?





心配そうに覗き込む声。















あなた
(___何回もあくびしてて、自己管理ができてない女だと思われたくない……!)














そう強く思い、







あなた
だ、大丈夫!!めっちゃ元気だよっ!










とにぱっと笑ってみせる。









だけど___兵助はまた、ほんの少し表情を歪めた






あなた
(…やばい。距離の詰め方、間違えた?)







兵助はどちらかと言うと、静かな大和撫子系な子がタイプそうだもんな…どーしよ、







胸の奥がざわつき、次の言葉が突然怖くなった。











「ここは一旦引いて、作戦会議しよう」






と思い、








あなた
じゃ、久々知くん……またあしたね!
 









彼を置いて走り去ってしまう。








その背中を、兵助はただ黙って見つめていた。
 











彼の目には、彼女が思っている以上の感情が揺れていたのに___

























⟡.· ⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯ ⟡.·










翌日









いじめの中心だった花園澄華は、
突如として転校が決まった







噂によれば、"誰かの力が働いた" らしい













いじめが表向きに消えた、その日の放課後。




今日1日中目が合わなかった兵助と、廊下ですれ違った
瞬間、視線が、ふと絡んだ。






___昨日のこと、やっぱり距離感……間違えた、よね。





彼女がそう思ったのは、ほんの一瞬だった。



なぜなら兵助は、目が合った途端、はっとしたように視線を逸らし、そのまま少しだけ足早に通り過ぎていったからだ。




耳が、赤い。




あなた
(……あれ?)



彼女の胸の奥で、ぱちん、と小さな音が鳴る。





あなた
(もしかして……いけるのでは……!?)





確信には程遠い。けれど、昨日感じた


“失敗したかもしれない”


という不安が、わずかに揺らいだ。

















┄┄翌朝┄┄




もしかしたら……と淡い期待を抱いて、朝早くに学校へ着くように行った。








教室へ入ると、期待していた通りに久々知兵助が自分の席で本を読んでいた。












わたしの足音に気づき、兵助は顔を上げる。




一瞬、どこか気まずそうに視線が揺れた。












それでも___







あなた
久々知くん、おはよう




と声をかけると




久々知兵助
あ、うん、おはよう






と困ったように笑って言った。顔が良い。






わたしは自分の席である兵助の斜め後ろに腰を下ろし、ノートを開いた。




わざとらしくならない程度に、背筋を伸ばして勉強を始める。




あなた
(努力家アピールチャンス!!)




しばらくして。





問題集を見つめたまま、あなたの下の名前の手が止まった。
どう考えても、答えが出ない。



困って眉を寄せていると、



久々知兵助
……どうかした?






低く穏やかな声がして、顔をあげると、読書していたはずの兵助がこちらを見ていた。




胸が、きゅっと鳴る。






わたしは高鳴る鼓動を必死に抑えながら、



あなた
えっとね、ここ……分かんなくって。
久々知くんは、わかる?






兵助は少し考えるように視線をノートへ落とし、




久々知兵助
ああ。




そう言って、立ち上がった。




彼は迷いなく、わたしの隣___尾浜勘右衛門の席に腰を下ろし、机を彼女の方へ寄せる。




距離が、一気に縮まった。



久々知兵助
ここは、先にこれを整理して……
ほら、ここがポイント





低く落ち着いた声。
無駄がなく、分かりやすい説明。







兵助は説明を終えると、少し身を乗り出してこちらを
のぞき込んだ。




久々知兵助
…で、こうなるんだけど。分からない
とこ、あった?





近い。
視線も、声も、全部が近い。




あなた
(いい匂いする)



あなた
ううん……すごい、分かった
 




素直にそう答えると、自然と口角が上がった。
彼が自分のために時間を使ってくれたことが、ただただ嬉しい。




___でも



あなた
(ここ……チャンスなのでは……?)








わたしは一度、すっと視線をノートに落とす。
そして、そのまま




あなた
久々知くんって、やっぱりすごいね。簡潔だし、字も綺麗




1泊。顔を上げて彼の方を見た。
 



あなた
たくさん努力した証拠だね




ここからは、無邪気で、まっすぐな笑顔を意識した。



あなた
久々知くんのそういうとこ、すごく尊敬する!ほんと、ありがと!




言い切った途端、恥ずかしさが一気に込み上げてきて、わたしはは慌ててノートへ視線を戻した。



 ___言いすぎたかも。






そう思ってから、反応が気になって、そっと横を見る。





久々知兵助は。





片手で鼻と口を覆うようにして、顔を隠していた。
指の隙間から見える頬も、耳も、はっきりと赤い。
言い切った途端、恥ずかしさが一気に込み上げてきて、わたしは慌ててまたノートへ視線を戻した。





あなた
……え




 彼は何か言おうと口を開きかけた、そのとき。


 廊下の向こうから、登校してくる生徒たちのざわめきが聞こえてきた。



 はっとしたように兵助は立ち上がり、




久々知兵助
……っ





何事もなかったかのように、自分の席へ戻っていく。




本を開き、いつもの無表情。
けれど、その耳だけが、まだ少し赤いままだった。







私はそれを見て、胸の奥で小さく息をのんだ。



あなた
(……今の、見間違いじゃ、ないよね)



ページをめくる手が、少しだけ震えているのが見えて、
わたしの憶測は確信に変わった









スクロールお疲れ様です!
読んでくださりありがとうございました!!




ごめんなさい、勘右衛門から兵助に変えちゃいました。
次は 久々知兵助side で書きます!勝手な変更ごめんなさい💦

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