今日の天気は雲一つない文句なしの晴天、空気は澄み渡り木々の間からこぼれ落ちる光は眩しくも綺麗だと言わざるを得ない程にキラキラとしている。
しかし皮肉にも私の心模様は全くの正反対である。
今さっきのテレビの内容が頭の中でチラつくためあまり心が浮かないのだ。
はっきりいって私はケータくんという存在が不思議で堪らない。ゲームの中の住人がこの世界に居るという理科の先生もびっくりの意味不明がすぎるのに……。
それなのに3DSから直接出てきた所を見たせいでどうも疑いきれてないのが正直な所なのだ。
でも今1番有り得るのが全て私の幻覚ということなのだ
そうなった場合が1番自分にダメージがいくし……うぅ
悶々とする思考を整理しようと足りない脳みそをフル回転させていると、ケータくんに
「あなたちゃん? 靴履かないのー?」
続けて早く行こー!と言われハッと気付いた。どうやら玄関先で突っ立って考え込んでいたらしい……はあ。
最近ずっと考え事をしてる気がする。頭を働かせるのはあんまり得意じゃないんだけどな……まあ
『ちょっと待って、すぐ行く!!』
(とりあえず今は外でケータくんと楽しく遊ぶことに集中しよう……)
一番危惧しないといけないのはケータくんと話している私の姿が誰かに見られていないかである、その為にあまり人が居なさそうなところを選びヒヤヒヤしながらも道路を蝉時雨が降る中歩く。
そんな中ケータくんはよっぽど外に出て遊びたかったらしく、目に見えるほどワクワクしており、目をキラキラと輝かせては四方八方を見渡している。
『ケータくんの住んでる所はこういう場所あったっけ?』
「さくらニュータウンにはおおもりやまぐらいしか自然豊かな所がないからさ。遠出しないとあんまり無いかも」
『確かにケータくんの家からケマモト村までは電車を乗り換えて行ってるもんね。』
そう思ったらうんがい鏡ってめっちゃ有能だね?
そんなことを楽しく話しながら何となく歩いていると
私のお気に入りである町外れの神社に着いた。気付かぬうちに神社に向かっていた様だった。
とりあえず、もってきた少量の小銭をこじんまりとしたお賽銭箱にいれる。カタンッとお金が落ちた音がしたら手を合わせて礼をする。
ケータくんが不思議そうに隣で見ていたので10円を渡してあげ、隣で様子を見ることにした。
いつもゲーム中によくおおもり神社の賽銭箱にお金を入れていたからかとても慣れている様子。
『何お願いしたのー?』
そう聞くと「いっぱいレアな虫が取れますように!」
とお願いしたらしい、ケータくん位の男の子ってやっぱりみんな虫好きな感じなのかな? 気になる。
ふとケータくんを見る。私よりも少し大きな背丈、鶏のトサカの様な寝癖。いつもの星マークの服に、まだ使っている所を見たことがない妖怪ウォッチ。
あそう言えば
『その妖怪ウォッチって今っ』
「おーい! あなたちゃーん!」
(完璧に油断してた!)
急に名前を呼ばれた事にびっくりして辺りを見回す。
よくよく見ると神社の出入口である階段の所に預けられた初日に仲良くなった子達が手を振っていた。
自分を覚えてくれていた事の嬉しさが募り荷物さえ放り投げ、全力ダッシュでみんなの所へ駆け寄る。
『みんなおはよう!』
「あなたおはよー!」
「あなたちゃんの家の事聞いてなかったからさ
朝からずっと探してたんだよね」
『あれ言ってなかったっけ!? ごめんね!』
「見つけるの苦労したんだからね〜?」
「まあまあ見つかったことだし、みんなで遊ぶぞ!」
『え! 行きたい……あっちょ、ちょっと待ってて!』
(まずい! ケータくんの事すっかり忘れてた!)
荷物を整理するフリをして、ケータくんをちらりと見る。怒ってはなさそう……よかった。
(でも、どうしようケータくんとも遊びたいけど、今更やめとくって言うにも『行きたい』って言っちゃった矢先に断りを入れるのもまた違う気がする……うぅ)
これまた悶々と考えていると、隣にいたケータくんが
そっと私の耳元で
(オレの事は気にしないでいいから行っておいで!)
と言い気を利かせてくれた。優しすぎて泣いちゃう。
(うぅ本当に申し訳ない……)
そう思いながらも足取りは軽く、荷物を整理し終えるフリもちゃんとしてみんなの元へ戻る。
『ごめんごめん! いこ!』
「おっしゃ!夕方まで遊ぶぜー!」
「今日は何するの?」
「あなたは虫とかいけるタイプか?」
『虫かぁ、蝶とかなら大丈夫!』
「あ、あなたちゃん足元気を付けてね」
神社の境内、木々に止まる蝉達が喧しく騒ぎ立てる。
その中で静かに天野 ケータは思考する。
本当はこの世にはいないはずの存在。
「あなたのいない世界かぁ」
「 」
言の葉は蝉時雨で塗りつぶされ消えた。
▼to be continued












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。