第4話

3曲目
46
2026/03/30 04:11 更新
あなたside



なんでだろう。私はいつも運が悪い



まさか1時間目が、音楽で歌の練習だったなんて
生徒
え、朝イチから歌うのマジできついんですけどー
生徒
それな!
(なまえ)
あなた
(最悪…)

あの日以来、歌っていないのに
先生
3年最後だしな。気合い入れていこう!
先生
あ、そうだ来栖。
(なまえ)
あなた
先生
前の時間で皆パートを決めたんだが…
先生
お前はソプラノかアルトどっちがいい?


声が出なかった



昔なら一番に手を挙げて『ソプラノ』と言っていたんだろう



一番高い音が好きだったから。誰よりも遠くまで届く感覚が、好きだった
(なまえ)
あなた
…歌わなきゃダメですか…?


やっとの思いで出た声は自分でもびっくりするぐらい、震えていた
先生
そーだな…ピアノも指揮者ももう決まっていてな…
(なまえ)
あなた
…じゃあアルトでいいです
生徒
え、来栖さんアルトいくの?
生徒
結構地声高いよね

悪気ゼロ、ただの疑問



空気が一瞬だけ止まり、私はほんの少し笑う。
(なまえ)
あなた
今は低い方が好きなの
生徒
そーなんだ!かっこいいもんね!アルトって!
生徒
じゃあ、一回皆んなで合わせようか!
生徒
来栖さんは口ずさめれたら、そうしてほしいな!
(なまえ)
あなた
…わかった


ピアノの音が鳴り、明るい旋律が教室に広がる



ソプラノパートが終わり、アルトのパート
(なまえ)
あなた
__ぁ…


出せる、音程も覚えた。



でも……



『声が出なくなってしまうかもしれません』



あの日の声が蘇る。息を吸いかけて、止める。
(なまえ)
あなた
(あぁ、私って本当に馬鹿だ)

皆の足を引っ張ってしまった。1人の声がないだけでも歌というものは変わってくる



分かっている、私が1番分かっているのに



どうしても声が出なかった



練習終わりにクラスの女子生徒に呼び出された
生徒
あのさ来栖さん
生徒
ちゃんと声出して歌ってくんない?
(なまえ)
あなた
……
生徒
皆ちゃんと歌ってるのにさ、来栖さんだけ歌ってないんだよね

分かってるんだってば
生徒
まだ、小声で歌うなら分かるけど、口さえ開いてないしさ
(なまえ)
あなた
…ごめん

それしか言葉が出てこなかった



声を出したい、皆と一緒に歌いたい…けど、私には 無理だから
(なまえ)
あなた
…(もう嫌だ帰りたい)

それから授業中ずっと、1時間目の終わりに 言われたことを考えてた



歌わなかっただけで、こんなにも言われるのか。



私何回か思ってたけど、貴方のピアノだって間違えてたじゃん。



自分の言葉だけ正当化してさ、おかしいでしょ
(なまえ)
あなた
もう、大っ嫌い
神代 類
神代 類
あなた?
(なまえ)
あなた
ッ…(びっくりした…)

聞かれてた?



もし、聞かれてたら…また私は独りぼっちだ。
(なまえ)
あなた
…何?類、何か用…?
神代 類
神代 類
お昼、一緒にどうかな?司くんも一緒にいるけれど

お昼ご飯…か
(なまえ)
あなた
今日ご飯持ってきてないけど、それでもいいなら……

私はわずかに視線を逸らしながら言うと、類は楽しそうに目を細めた
神代 類
神代 類
構わないよ。僕の昼食を分けよう
(なまえ)
あなた
別にいらな__
神代 類
神代 類
遠慮は美徳じゃないよ。あなた


くす、と笑う。



逃げてみようと思っても、私たちの席は廊下のドアあたりだから、逃げ道は塞がれている



先程まで、先生と話していた天馬くんもこちら側へ来た
天馬 司
天馬 司
類!話はついたか?
神代 類
神代 類
あぁ、一緒に来てくれるそうだよ


そうして3人横並びで屋上へと向かった

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